日系大企業からスタートアップに転職しても幸福度が高くないケースが多い、というツイートを見ました。
商社の総合職同期は約120人いたが退職者は40人近く。Mck、BCG、野村IBD、三菱モルガンIBD、資源メジャー等への転職者は総じて満足度は高そうだが、ベンチャーに行った面々は転職を繰り返し結局BIG4などでコンサルやっていたりと、あまり幸福度は高くなさそうに見える。
— テック商事 (@techshoji) January 5, 2023
このツイートには非常に共感できます。
私も年収 1300 万円の日系大企業からスタートアップ(というより中小企業)に転職しましたが、全然幸福度は上がりませんでした。
あんなに嫌だった大企業のしがらみがむしろ、自分の自尊心を支えてくれていたのだと気づきました。
会社のブランドが全くなくなると同時に、自分を支えていた自信のようなものも一緒に消え去ったことに気づき、愕然としたのです。
会社名を聞かれてもなんとなく答えたくない気分が続きました。ぶっちゃけ、恥ずかしかったからです。
大企業にいたときは、会社名がなければ何もできない無能共に嫌気が差していましたし、それはそれで事実なのですが、会社名を誰も知らない年収低い雑魚企業で働くのが情けなく感じてしまうのもまた事実です。
年収が低い会社は恥ずかしいのです。だってしょぼいじゃん。
スタートアップだから自由だとは限らない
大企業は無駄なことばかりしています。 既存の顧客から莫大なお金が流れてくるため、既存の仕組みを回すだけでも安定してお金を稼ぐことができます。
「同じことばかりしている」と書くと、「ふざけんな、新規プロジェクトもやってるし、顧客に提案もしてる」と大企業の人は怒りますが、どの仕事も似たような作業の繰り返しなのは間違いないでしょう。
標準化されたプロセスを踏み、冗長で意義の感じにくい会議での承認を経て予算を獲得し、社内の標準的なプロセスに則って仕事を進めていく。
形は変われど、代わり映えしない仕事が続くはずです。
そんな業務に嫌気が差し、「スタートアップならもっと自由にやれるかも」と夢を見ます。
「こんなくだらない、ブルシットジョブで一生終えるために俺は生きてるわけじゃない」
そんなことを考えます。
大企業の業務は基本的に、死ぬほどつまらないからです。それはもう、生きている意味を感じられないほどです。
何の意味があるのかわからない仕事ばかりが山のように積み重なり、穴を掘っては埋める徒労を繰り返しているような気分になります。
平均年収 1000 万を超える大企業に入社する学生は基本的に優秀です。志が高く、意識も高く、地頭が良い。
そんな優秀な若手社員がくだらなすぎる大企業を飛び出しスタートアップに転職し、そして絶望します。
スタートアップもくだらない仕事多いじゃねえか、と。
もちろん、大企業ほどではありませんが、スタートアップにもくだらない仕事はあるのです。
スタートアップは創業社長が大株主であるため、誰も逆らえません。
創業社長がマイクロマネジメントするタイプの会社の場合、何でも社長にお伺いを立てなければ何もできません。
マイクロマネジメントしてくる人間が課長から社長に代わっただけで、不快なことには変わりないです。
社長との距離が近くても別にメリットはない
大企業出身の中には「社長との距離が近い」ことを魅力に感じる人もいます。
大企業だと、普通は社長には会えないですし、会話することもないからです。
社員数 100 人未満の中小企業では、社長との距離感は近いです。大企業の部長くらいの位置づけでしょう。
何かを承認してもらうために、会議で会話します。
50 人以下の会社だと、もはや同じチームにいるかもしれません。
だからといって「社長と話せてすげー」とか、「社長と話して成長できる」なんてことは全く無いです。社長と話したからって成功しません。
唯一のメリットは、「この程度のおっさんでも金持ちになれたから、俺でも間違いなく金持ちになれるな」と確信が持てることです。
多くの中小企業を見れば、普通のおっさんが成功しているのが明らかになります。やるかやらないかです。
年収が低い会社で働くメリットなどない
「年収で人を判断するな」っていう気持ちは大企業時代の方が強く持っていましたが、中小企業に転職すると考えを改めました。
年収が低い会社はクソです。
賞与、福利厚生、有給、その他諸々、何から何までクソです。年収が低い会社は、一事が万事、何をやってもケチくさいです。
健康診断ですらケチくさいです。元々の大企業だと、30 歳以降は人間ドックのフルパックを受けられましたが、中小企業は最低限の健康診断だけです。
とにかくケチくさいのです。儲かっている会社かどうかも大事ですが、社員に還元する意志のある会社かどうかの方がもっと重要です。
大企業から中小に転職する場合、基本的に年収は下がるでしょう。
総合商社以上の年収を出せる中小企業はありません。転職するときは、「こんなクソつまらない仕事をするくらいなら年収を下げてでもやりがいのある仕事をしたいんだ」と考えてしまうかもしれません。
それは明確な誤りです。いや、誤りでした。
年収を下げてでもやるなら、起業してください。
雇われで仕事するなら、年収こそが正義です。年収出さない会社に自分を安売りしてはいけません。
1300 万から 100〜200 万下がって年収 1000 万とかなら許容範囲かもしれませんが、年収 1000 万から 500 万とかに下げると、生活が立ち行かなくなります。
大企業からスタートアップに転職したくなる理由
中小企業やスタートアップで働いても給料は安いし、社長はワンマンだしで良いことはあまりありません。
あえて言えば、大企業ほどネチネチしておらず、社内政治もそれほどひどくなく、使っているツールはモダンで、無駄な会議が少ない点は事実です。 大企業で小さな歯車として働くよりも、よっぽど「ビジネスを回している感覚」は得られます。
中小企業の場合は、ビジネス全体が見渡せるのは大きなメリットです。
社会人になる前に、学生のインターンとして働くならものすごく良いと思います。経験値は大きいです。
一方で、何か成果を出しても昇給は少なく、思ったよりもやりがいも少ないです。
「やりがいがあるかないか」は裁量によりますが、「スタートアップだから裁量がある」というより、会社の文化次第です。
どんな会社かは入ってみないとわからないし、入ってからだと職歴がついてしまうので辞められません。
大企業の配属ガチャほどではありませんが、会社のカルチャーは外からはわかりづらい、というギャンブルはあります。
年収は嘘をつかないので、年収は妥協しないようにしてください。
大企業の配属ガチャの場合は、自分が何を専門にするかすらもわからない感じですが、転職して中小に入る場合は、「何を期待されているのか」が明確なので、「業務が不明」といったことは起こりません。
そこは安心してください。
結論、総合商社を退職してスタートアップに行くくらいなら、総合商社の仕事をほどほどにやりながら 2 年くらい準備して起業してください。
雇われで働くなら、ブランドがあって、年収が高い企業から内定が出るまで転職活動を辞めないでください。