エンジニア転職のリアル

IT未経験からエンジニアに転職して、SEとして年収を上げていく方法|プログラミングスクールは使えるのか?

2023/02/25に公開
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IT 人材職の市場価値が高騰している、というニュースをよく見ます。 2022 年 6 月末時点では、IT 業界全体の年収が 14 %増えていて、IT 業界に転職すると、平均して 75 万円以上年収が上がるそうです。

ちなみに私は 300 万円アップしました。

主要業務が IT ではない事業会社でも、「IT 系の職種のみ年収を上げて人材を確保しよう」と奮闘している会社も多いです。

2023 年の今でも、エンジニア転職には追い風が吹いています(外資 IT 企業ではレイオフの嵐が吹き荒れていますが、業界全体ではまだまだ供給が足りていません)

最近話題になったファーストリテイリングの場合、エンジニアの平均年収は 961 万円で、上限が 2100 万円になっています。

ファーストリテイリングのエンジニア職

ファーストリテイリングは日系企業の中でも例外と呼べるほど高い年収水準にありますが、外資系 IT 企業に転職すると、平均して 1500 万円程度の年収になります。

サラリーマンとしては夢がありますよね。

とはいえ、このような高待遇で転職できるのは「即戦力のベテラン」に限られており、「IT 業界を目指したい未経験者」にとっては依然としてハードルが高いのも現実です。

IT 未経験で、別業種から IT エンジニアとして年収を上げていくにはどうしたらいいでしょうか?

未経験で IT 業界には入れるのでしょうか?

実際、不安ですよね。

まず安心してください。

別業種で働いていて、キャリアチェンジして IT 業界に入ってきた人は、現場でもたくさん出会います。

未経験でも IT エンジニアにはなれます。

ファーストステップはどうしたらいいでしょうか。

ひとまず IT 業界に滑り込むのが良い

IT 業界内で転職が難しいのは「未経験」のときだけです。

1 年だけでも現場で業務経験を積めば、それ以降、転職はイージーモードになります。

「いや、未経験だから転職に苦労するって言ってんじゃん。どうやって滑り込めばいいんだよ」

とツッコミを入れたくなるでしょう。

未経験からの IT 業界に転職する方法は主に 2 通りです。

  • ポートフォリオを作り込んで、企業の求人サイトから応募しまくる
  • プログラミングスクールで勉強して、SES か自社開発企業の面接を受けまくる

通常は 2 つのルートしかありません。

イレギュラーなやり方として、ツイッターでポートフォリオを公開して、「こんなものを作りました。職場を探しています」とアプローチする方法もあります。

いわゆる「ツイッター転職」です。ツイッター婚活と同様に、フォロワー数が多い人には有効な手段ですが、人を選ぶやり方です。あまり期待しないほうが良いでしょう。

プログラミングスクールはツイッター上では評判がよくないですが、現実問題、プログラミングスクールから始めて、IT 業界に転職してきたという人がけっこうな頻度で出会います。

自分はプログラミングスクール出身ではないのですが、プログラミングスクールは決して悪い選択ではないのです。

ただ、プログラミングスクールは玉石混交で、変なプログラミングスクールに風評被害を受けている感もあります。

「初心者から始めて半年で年収 1000 万」みたいな道はありえません。

そんな天才は存在しません。未経験から IT 業界に飛び込んで、年収 1000 万以上のオファーを勝ち取るまでには通常、3 年以上はかかるでしょう。

  • 1 年目:SES に潜り込んで年収 400 万〜500 万
  • 2 年目:自社開発の会社に転職して年収 750 万
  • 4 年目:外資 IT かメガベンチャーに一度転職して年収 1000 万超え

くらいの感覚を持っておきましょう。これくらいの期間を設ければ、誰でも年収 1000 万は到達可能です。

「地頭がある程度良く、継続的に努力できる人なら」という条件は付きますが。

あなたが情報商材を買って、一攫千金ばかり狙い、地道に勉強したり、手を動かしたりできないワナビーなのであれば、そもそもソフトウェアエンジニアに向いてないので、やめたほうがいいです。

ツイッターで有名になって note を売るほうが簡単に稼げるでしょう。

「10 歳から自宅のパソコンでプログラミングを始め、東京大学大学院情報理工学系研究科を修士で卒業後、新卒で indeed に就職して年収 1500 万」みたいな人はいるかもしれませんが、まぁ、未経験から半年では基本的には無理です。

東京大学医学部を卒業して医者として働いた後に Google に入った人もいますが、こういう例外事例を見て、「おれも半年で Google に入って年収 2000 万だ!」と意気込んではいけません。

【転職エントリ】Google に入社します

凡人には戦術よりも戦略が大事です。

確実な道を一歩ずつ進んでいきましょう。

ポートフォリオを作り込んで最初から自社開発に転職するパターン

ポートフォリオとは、「人に見せるための作品」のことです。 自分が作ってきたサイトであったり、アプリを公開して、レジュメに書いてアピールします。

成功すれば一番コストパフォーマンスの良い作戦ですが、目を引くポートフォリオを作るまで時間がかかる、というデメリットもあります。

技術を学んで、Zennにアウトプットするのを忘れないようにしましょう。

GitHub アカウントは必須です。毎日草を生やしましょう。

草を生やす、というのは GitHub 上に変更を push する、ということですが、未経験のうちは意味がわからなくても構いません。

「Zenn と GitHub のアカウントを作る」ということだけは忘れないでください。

最初は React + TypeScript でウェブフロントエンドの作り込みから始めるのが良いと思います。

React を勉強するためにおすすめの書籍一覧|初心者・未経験からポートフォリオを作るレベルまで

そこで身に付けた TypeScript の知識を活かして、TypeScript でバックエンドまで開発して、AWS か GCP にデプロイするまでやっていきます。

その上で、「自分はこんなことができます」と履歴書に書いて自社開発企業にエントリーするのが「最強の勝ちパターン」とされています。

しかしながら難易度は相当に高く、元々大学で情報系を先行していてプログラミングの経験があるか、元々偏差値が高く、勉強に抵抗がなく、かつ社会人になってからも勉強時間を確保できる人でないと難しいでしょう。

個人的には、SES などを 1 社挟んで、ステップアップ転職するのが確実だと思います。

自信がある人は、転職ドラフトなどで成果物をアピールしてみるのも良いでしょう。

序盤のゴールは「IT 企業に入社すること」なので、早めにエントリーしておくのは良いことです。大学受験だって、過去問を見て自分が何を勉強するかを判断するでしょう。

転職活動も同じです。企業が求めていることから逆算して、やるべきことを見極めます。求人サイトは受験における過去問です。企業の求人を穴が空くほど眺めましょう。

求人と有価証券報告書のウォッチは日経新聞以上に経済の勉強にもなります。趣味にしましょう。

未経験はプログラミングスクール出身の人が多い

独学でポートフォリオを作って転職する人は、未経験転職者のうち 2 割くらいでしょう。

8 割くらいの未経験者は、素直にプログラミングスクールを利用しています。

私が自社開発のウェブ系企業で働いたとき、稀に「業界未経験」の人が入社してきたこともありました。 みんなプログラミングスクール出身でした。

エンジニアとして働いていると、「外部委託」として、「他の会社のエンジニア」にシステム開発を手伝ってもらうことがあります。 手伝ってもらうときには面接もするのですが、中には「経験者と未経験をセットでお手伝いさせてほしい」という人もいました。

この「未経験の人」がどんな人だった知りたいですよね。

「製薬業界で営業を担当した後、エンジニア就職を志してプログラミングスクールを受講。就職が決まり、現在アサイン待ち」みたいな人でした。

上の例から得られる教訓は 2 つです。

  • プログラミングスクールを使えば、どこかのタイミングでウェブ系自社開発(SaaS ベンダー)に就職できる
  • プログラミングスクールを卒業すれば、SES には間違いなく就職できるはずである

ちなみに扱う技術は Ruby on Rails でした。

自社開発ウェブ系の企業に就職するのは難しいと言われがちですが、中小企業であれば、プログラミングスクール卒でも就職できます。

もちろん業界未経験なので年収水準は低いです。最初は年収 400 万くらいからスタートする可能性はあります。 年収水準の低いアパレルや飲食からの転職であれば十分アリな選択肢かと思いますが、年収 800 万以上から未経験で IT 業界に転職すると、数年はかなり低い年収での我慢が強いられます。

そこから年収を上げていくために、具体的にはどのようなキャリアプランを描けばいいのでしょうか。

プログラミングスクールから SES に入り 1 年、業界経験を積む

まずプログラミングスクールに入ります。 プログラミングスクールのカリキュラムには「ポートフォリオを作る」というものがあります。

ポートフォリオは成果物です。「自分がこれくらいのものを作れますよ」とアピールするために、卒業制作みたいな作品を作るのです。

ポートフォリオを見せて、IT 系の会社に就職します。

おそらく最初は「SES」と呼ばれる「エンジニアの派遣会社」みたいな会社に就職することになります。

他の会社のプロジェクトに参加して、コードを書いていくイメージです。

SES はツイッター上では非常に評判が悪いですが、会社次第です。

SES に就職して、古い技術を使っている大手 SIer に派遣されると、全く技術力が向上しません。 そうなると詰みます。

なので、大手 SIer に技術者を派遣していない SES を狙いましょう。

大手 SIer 絡みの SES を避ければ、むしろモダンな技術スタックの会社で経験を積めます。 下手に自社開発で 1 社に縛られるよりも、色々な会社で幅広く技術力を高めることができます。

みんな勘違いしがちなのですが、自社開発ウェブ系と言われる企業でも、普通に「外部委託」を使っているのです。 全部が全部を自分たちで作っているわけではないのです。

SES に就職して、自社開発のウェブ系企業に派遣してもらって、技術力を磨き、それから転職しましょう。

とりあえず Rails の案件を狙え

SES として大手 SIer に派遣されたらキャリアが詰みます。大手 SIer を避ける最も確実な方法は、「Java を避ける」です。 大手 SIer は古いバージョンでの Java 開発ばかりです。

プログラミング言語としての Java は決して悪くないのですが、大手 SIer の古くて頭の悪い仕事の進め方に触れるのは害でしかありません。

大手 SIer から逃げるには、Java を避けるのが一番です。そして大手 SIer では Ruby や Go を使いません。

まずは Ruby on Rails が強みとなっている SES の会社に就職しましょう。

Rails に強みがあるなら、会社のホームページで「Rails エンジニアが豊富にいます」とアピールしているはずです。 たとえば以下のような文言があります。

万葉は技術の会社です。技術を使って、お客様の問題を解決することをミッションとしています。
技術は、長い歴史の中、たくさんの人がより良いものを目指して築き、いまも営々とその努力が続けられているものです。
たとえば Ruby をより良くし続ける努力があり、Rails を安全に、便利にし続ける志があり、それを支えるコミュニティがあります。
万葉で働いてみませんか?

Rails は SIer を避けるための魔除けです。虫除けです。

たとえ Rails の将来性に疑問があったとしても、最初は Rails を選ぶことで、大失敗を避けることができます。

Rails の現場で 1 年経験を積んだら、踏み台転職しましょう。

Rails の現場経験を積みながら、モダンフロントエンドにも精通しておくと良いです。

最初は年収ダウンを受け入れて、後で年収を上げる

低い年収が提示されるのは、未経験だったからです。なめられていたのです。

1 年業界経験を積めば、相手の態度は 180 度変わります。たくさんの会社から「来てください」と逆にアピールされます。

私自身、大手 SIer からプログラミングほぼ未経験でウェブ系に転職しました。 未経験だったので、最初はめちゃくちゃ苦戦しました。年収も下がりました。

ですが、1 年経験を積んでから転職活動をすると、書類はほぼ落ちないし、6 社以上が最終まで進み、4 社から内定が出ました。

それぞれの条件を比較して、1 番良い会社を「選べる」ようになります。

ゼロから未経験の転職のときは選択肢なんてなかったのに、1 年頑張るだけで好き放題選べるようになるのです。

年収は 300 万円上がりました。

未経験エンジニアは転職を駆使して年収を上げろ

未経験でエンジニアに転職する場合、最初は足元を見られてしょぼい年収を提示されます。 最初は年収 400 万くらいになる可能性もあります。屈辱に思ってください。悔しさを忘れないでください。

年収 400 万の会社で 1 年頑張って、次は年収 700 万で転職しましょう。 「経験のある」エンジニアは本当に引く手あまたなので、年収 700 万なら達成できます。

確実にいくなら、年収 600 万を狙いましょう。 平均年収 600 万程度の会社はエンジニア転職の世界では雑魚企業なので、簡単に入れます。

それで、年収 600 万の会社で 2 年くらい頑張ります。 2 年頑張るのは、ジョブホッパーとみなされるのを避けるためです。

年収 900 万で次の会社に転職すれば、後はその会社で頑張って年収 1000 万に上げるなり、フリーランスで自由に働くなり、働き方も選べるようになります。

「未経験がスクールに通って年収 1000 万」なんてのはありえません。未経験にそんな年収を出す会社は存在しません。

ですが、「年収 1000 万出して経験者を採りたい」という会社は星の数ほどあります。 最近では「ウェブ系 IT 企業」だけでなく、普通の事業会社も高年収でエンジニアを探しまくっています。

たとえばイオンスマートテクノロジーは年収 1100 万〜1550 万で求人を出しています。

フロントエンド開発(JS/CSS)ハイスキル/デジタルテクノロジー Div.

経験さえ積めば選び放題なのです。

キャリアを短期的に考えると、あまりうまくいきません。世界は私達に都合良くはできていません。

あっという間に人生を変える魔法はないのです。

だから、計画を立てて、順を追って年収を上げていきましょう。今の年収が低い人は、3 年計画で年収 800 万以上を確実に取りにいきましょう。

どんなプログラミングスクールを選べばいいか

選ぶべきプログラミングスクールにはいくつか条件があります。

1 つ目は、転職サポートがある点です。 転職活動を自分だけでやるのは大変な手間がかかります。ましてや未経験からの転職です。

「行きたい」と思うようなすごい会社に応募しても、だいたい書類で落とされます。 なので、「現実的に入社できる中での最強の会社」を経験者にサポートしてもらう方がいいです。

また、転職エージェントを使うと書類が通りやすくなるように、第三者の推薦があると未経験でも面接まで進みやすいです。

スクールで良い結果を出して、中のサポートの方に推してもらうことで、入社確率が上がります。

就職までの過程を考えると、「転職サポート」は必須です。

次に、カリキュラムの内容です。

「とりあえず Rails の会社に潜り込む作戦」を決行するために、Rails のカリキュラムがあるスクールを選びます。

PHP 推しのスクールもありますが、最初は Rails の方がいいです。 BASE 社など、PHP を使っている会社はあるのですが、Rails に比べて少ないです。

最初は Rails を目指しましょう。

最後に、「未経験からエンジニア転職」を目指す人の中には、年収が低い人もいるでしょう。 そういう人は甘い話に飛びつかないでください。

安かろう悪かろうのプログラミングスクールに小さな金を払って無駄にするより、ちゃんとサポートしてくれるスクールを使う方がいいと思います。

エンジニアで一発逆転を夢見ているかもしれません。夢を見るなとは言いませんが、努力が必要です。 情報商材は不要です。

半年で年収 1000 万は無理ですが、数年、本気で頑張れば活躍できます。 もちろん、適性もあるでしょう。誰でもできるとは言えません。

たとえば Lapras のKawamata Ryo さんは有名なフロントエンドエンジニアですが、元は消防士です。

別業種からの転職ですが、現在の年収は 900〜1000 万はあるでしょう。それくらいの価値があるとネット上で認知されているすごい人です。

あなたもきっと、3 年でこのレベルになれます。

エンジニアは他業種に比べて努力が報われやすい仕事です。勉強した時間がアウトプットにつながります。逆にいえば、努力できない人には向きません。 机に向かうのが辛くて仕方がない人は、おそらく向いていないです。別の道で頑張りましょう。

机に向かう意志があり、努力を惜しまない人なら、絶対活躍できます。 大学受験とかで 1 日 10 時間勉強してきた人なら大丈夫です。


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