Amazon のレビューの評価が高く、初心者にわかりやすいと評判が良い『はじめてでも迷わない Figma のきほん やさしく学べる Web サイト・バナーデザイン入門』を買ってみたので、感想を書いていきます。 自分は Twitter もやっておらず、著者との交流もなく、献本されたわけでもないため、正直な感想を書けます。
本はもちろん自腹で買いました。
結論
初心者に優しそうに見える本でしたが、全然初心者に優しくなかったです。 知りたい部分の手順を飛ばされていたので、手を動かしながら本を読み進めることができませんでした。
初心者向けっぽい本にしている割に、肝心な操作方法がすごくわかりづらいので、著者が何を伝えたいのかがよくわかりませんでした。
「Figma はこんなことができるよ」というカタログのような本でした。パラパラとめくって、何ができるか眺める感じです。
結果として、「Figma でこんなことができる」ことはわかりますが、「どうやってやるか」は検索して調べながらでないと進められません。
本を読みながら Figma のスキルを身に着けたかったのですが、全く成長できた気がしなかったです。とにかく読み進めるのが苦痛でした。
本の前半は各画面のメニューの名前をずらずらと並べているだけなので、頭に入ってきません。 後半の実践編は、肝心の作業内容の手順はほぼ飛ばされていて、「どうやってやるか」がわかりません。
とにかく解説が雑です。 初心者にとって、「どうやって操作すればそれができるのか」が本の中で知りたいのに、そこが省略されまくっていました。
Amazon のレビューにある「ハンズオンで進めることができればよかったんですが、『こうやっといてください』で完結してしまういい加減な本でした。」という感想が、この本の弱点を端的に示していると思います。
一方で、レビューで批判されている「自分語りが多い」については特に気にはなりませんでした。 自分を語ってもいいですし、主義主張があっても構いません。ですが、初心者がハンズオンで操作するための手順を省略するのは、初心者向けの本としては不適切でしょう。
読みながら感想を書いてみた
本の序盤の方は各画面の機能が 1 つひとつ解説されています。
- タブ
- ファイルメニュー
- ファイル作成
- キャンバス
- 左サイドバー
などなど、それぞれの画面を構成する要素と、その内容を一覧にしています。
しかしながら、超初心者がいきなり画面の構成要素の説明を見ても頭に入りません。
「これはこういうメニューです」という羅列を覚えるのは、無味乾燥な日本史の年号を覚えるのと大差ありません。
画面の説明が 112 ページくらいまで続きます。何も頭に残っていません。
そこからは実践編に入ります。
実践編は手順がわからない
まず最初はインスタグラムの投稿を作っていく章です。
実践編の最初に
- フレームを選択する
という見出しがあります。
その項の冒頭で「まずはフレームツールから選択し、右サイドバーにある[ソーシャルメディア]タブから[Instagram 投稿]を選択します」と書かれています。
ここで初心者は
- 「フレームツールから選択」ってどうやってやるんだ?
- 右サイドバーにあるソーシャルメディアタブってどこ?
と手が止まってしまいます。
画面の解説が全く省かれているので、自分で検索しながら進めるしかないのです。
なぜここを省略するのは理解できません。 実践を、どんな手順でやるのかが重要なのに、肝心の操作手順は、「前の章を見ておいてね」で終わります。 そして前の章を見ても、該当箇所がどこなのかがわかりません。
こんな不親切な構成をなぜ編集者は許したのでしょうか?本当に編集者は初心者の立場でこの本を読んだのでしょうか? 疑問が次々と湧いてきます。
買ってしまったのは仕方ないので、Google 検索しながら読み進めることになります。 1 ページ進めるのに 30 分かかります。
ガイドラインを引く
少し読み進めると、
- ガイドラインを引く
みたいな項目がありました。
ガイドラインってどうやって引くんだろうと思っていたら、「LESSON9 を参考にメモリを表示してください」などと指示されます。
しかし、LESSON9 のどこに定規についての記載があるのかがわかりません。
結局、検索してやり方を調べました。
定規の出し方をわざわざ検索して進めます。
こんなのが延々と続きます。
長方形の作り方
「最初に一辺の長さが 60px の正方形を 4 つ作成し、四隅に配置します」とありました。
初心者なので、最初は長方形の出し方がわかりません。
長方形の作り方についてはスクリーンショットも何もないのです。 書くのが面倒くさかったのでしょうか?
このあたりで気が付きます。 本に解説を期待してはいけないのだと。
書かれている内容について、自分で検索して、自分で試行錯誤して、とりあえず動かしながら学ばなければならないのだと。
数日かけても 1 つの実践編を無事に終えるのは難しかったです。
まとめ
タイトルには「はじめてでも迷わない」とありましたが、私にとってはタイトルは正しくありませんでした。 めっちゃ迷いました。
はじめて Figma を触る人が迷う本だと思います。
もっと簡単な本を読んで 2 冊目にやるか、本をきっかけにして調べ物をするかの使い方しかできません。 自分は本の内容を読んでいる時間より、本の記載について検索して調べる時間の方が長かったです。
書籍だけで Figma を理解するのは難しいですが、手を動かさない管理職の人が『はじめてでも迷わない Figma のきほん』をきっかけにして「Figma で何ができるか」を知識として知っておくためには使えると思います。
書籍のリンク →はじめてでも迷わない Figma のきほん やさしく学べる Web サイト・バナーデザイン入門
ちなみにステマでも何でもなく、あとで買い直した 初心者からちゃんとしたプロになる Figma 基礎入門は初心者でも手を動かしながら理解できる構成になってました。 本当は『はじめてでも迷わない Figma のきほん』にこういう内容を期待していたので、わざわざ 2 冊買わなければいけなかったのが残念でならないです。
著者や編集者の方にもしかしたら届いてしまうかもしれませんが、この記事を読んで悲しんだり怒ったりする前に、まずもう一度ご自身の本を読み返してみてください。 初心者になったつもりで、ゼロから Figma を学ぼうとする人が、迷わずに Figma を操作できる内容になっているでしょうか?
既に Figma を触ったことがあって、操作に慣れている人を前提にしているように見えます。 誤解を招くタイトルを許した編集者と出版社には反省を求めます。3000 円を無駄にしてしまいました。