大学生の間では、大企業に内定が決まったらだいたい「就活勝ち組」と言われます。 中でも平均年収が 1000 万を超える大企業の内定を持っていたら、後輩向けの就活セミナーで偉そうに「就活とは」というテーマで人生を語ることができます。
就職してからも、合コンでモテます。 女の子の食いつきが良くなります。
「良い会社に勤めている人」という下駄を履かせてもらえるので、初対面の人に信用されやすくなります。 優秀な人なんだろうな、というバイアスがかかった目で見られるので、何かと得することが多いです。
逆に誰も知らないような中小企業に内定をもらったとしても、大学では「就活に失敗した人」のレッテルを貼られるでしょう。 就職してからも、大企業勤務の人に比べて年収は上がりません。
「どこで働いているの?」と聞かれても堂々と答えづらい感覚を持ち続けてしまうかもしれません。
大企業に就職できたら世間体としては勝ち組です。 親も喜ぶし、周りも「すごいね!」と言ってくれます。
よほどキモくない限り、女の子からもモテます。 年収も上がりやすいです。
良いことばかりですね。世間的には。
ですが、大企業の中にいる人は、間違いなくストレスだらけです。 世間体と引き換えに、日々の業務で膨大なストレスを溜めていきます。
ここで語る「大企業」はいわゆる「JTC」と呼ばれる「日系大企業」を指します。例外はあるかもしれませんが、一般的に多く当てはまる特徴を語りましょう。 そして、なぜ「世間的には勝ち組」でも「人生は負け」なのかを解説します。
JTC=日本の伝統的な大企業とは?| JTC と呼ばれる会社の特徴を具体例で紹介
日系大企業の仕事は無駄ばかりで全く面白くない
大企業に入社してくる若者はたいてい意識が高く、何らかに秀でた人が多いです。
「仕事を頑張って、大きな成果を残して、世の中を良くしたい」と本気で願って入ってくる人が本当にたくさんいます。
一方で、日系大企業は(金額的には)大きな仕事をして、世の中を良くしているかもしれませんが、個人が生き生きと働けるような場所ではありません。 ここに凄まじく大きな矛盾があります。
意識高くてモチベーションも高い人間を入社させる割に、中の業務はモチベーションを削ぐようなものばかりなのです。
具体例を挙げると枚挙にいとまがありませんが、端的に言うと、業務の 8 割が無駄で無意味なものばかりです。
- 無駄な報告資料を作成する
- 無駄に報告会議を実施する
- 無駄にきっちりした議事録を作成する
くらいの作業は当たり前に発生しますが、とにかく無駄な会議、無駄なプロセス、非効率な作業が多いです。
業務時間の多くで「これ、本当にやってる意味あるの?」と感じることでしょう。ないです。意味、ないです。
「やると決められているから、やらなければならない」という仕事が本当に多くて、そういう形式的な作業で業務時間の 6 割が失われます。
まともな思考力を持った人なら「本当に意味があるのか?意味がないならやめた方がいいのではないか?」と考えます。 ですが、意味がないことでもやめられません。
「意味がない」と思える作業だったとしても、「1 ミリも意味がない作業」とは断言できないからです。
10 の労力をかけて 1 しか効果がないから「無駄」とは言えるのですが、日系大企業は「10 の労力をかけたこと」は気にしません。 「1 でも効果があるものをやめて、何かあったら責任問題」と考えます。
なので、無駄な作業を減らしません。やめて責任を取らされて、怒られるのが嫌だからです。
日系大企業に入ると、良い条件で転職できない
日系大企業は年収的には非常に恵まれています。 ゴミみたいな給料しか出さない中小企業に比べて、サクサクと昇給していきます。
福利厚生も良いですし、様々な手当もあります。
これで仕事が面白ければ言うことありません。クビにもならないし、「日系大企業最高!」と声を大にして言えるでしょう。
ですが、残念ながら良いことばかりではありません。 日系大企業の最も残念な点は、仕事を通じて専門性を磨けない点です。
「総合職」というくくりで色んな仕事を経験はできますが、履歴書に書けるような経験が積めないのです。
社員間の調整だったり、社内のルールの遵守だったり、下請けの管理はしっかりとやりますが、その仕事に「専門性」があるかというと、ないです。 正直、ある程度の自頭の良さがあれば、誰でもできます。まぁ、中小企業には「ある程度の自頭の良さ」すらない人が多いのですが。
こういうことを書くと、「いや、しっかり仕事してるから!俺の仕事は重要で意義のある仕事なんだ!」と大企業の人は反論してくるでしょう。
そう、その仕事は重要で意義があり、あなたは社会に貢献しています。
でも、転職活動で役に立たないのです。
というのも、社会的に重要で大きな業務であればあるほど、「その業務に特化したルール」が大量にあります。
システム的に言うと、「業務知識」です。
業務知識をいくら磨いても、転職先では何の役にも立ちません。
「複雑な業務知識を理解した経験が俺を強くした」とか思ってるかもしれませんが、その時間を他の作業に使えばもっと成長していたはずです。
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「その会社の中でしか役に立たない知識が多すぎる」というのが、大企業最大のデメリットです。
一生同じ会社で働くなら問題ないのですが、転職するときに困ります。 ゴミみたいな上司やゴミみたいな異動にかち合ったとしても、専門性がないので、一度就職したら抜けられないのです。
大企業は不自由である
中小企業に転職したあとで気づくことでもありますが、大企業は不自由です。
何をするにも「決まり、決まり」で自由がありません。 相互監視の文化があり、何をするにもまずは「否定」から入ります。
自転車で通勤してもダメ、T シャツに短パンもダメ...くらいならまだ理解できますが、パソコンも選べないですし、パソコンにインストールするソフトウェアでさえも制限されます。
制限されるのがデフォになっているので、何か新しいことを試すときにものすごく強いメンタルブロックが働きます。
「何かやって怒られたらどうしよう」と考えてしまうのです。
副業してクビになったらどうしようとか、ちゃんと確定申告すれば何の問題もないのに悩んだりします。
失敗や問題を許さないため、とにかく不自由なのです。
大企業に合う人、合わない人
大企業に合う人の特徴は簡単です。
クラスの学級委員のような、いい子が合います。 受験勉強が得意で、自分で独創的な何かをやろうとしない人に合います。 ルールを守るのが好きな人には合います。 新しいことをやりたくない人に合います。 不自由でも苦にならない人に合います。 ガチガチに管理されたやり方が好きな人に合います。
裁量を持って自由にやりたい人には大企業は合いません。 会社員という存在自体が不自由ですが、大企業はその中でもとにかく不自由です。
会社員の不自由は辛いですが、金がない不自由の方がもっと辛いので、不自由な会社員を我慢して、プライベートで楽しむという手もあります。 しかし平日の 9〜10 時間近く、ずっとイライラしながら働くのは精神衛生上ものすごく良くないです。
同じクソゲーなら、少しでも楽しいクソゲーをやるべきです。
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