エンジニア転職のリアル

大企業からスタートアップ(ベンチャー)への転職がうまくいかなかった理由

2022/08/03に公開
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私は大企業からスタートアップに転職して、1 年でまた別の会社に転職しました。

周りから見るとジョブホッピングしているようで、「転職に失敗した」ようにも見えるでしょう。

私の知り合いを見ても、大企業からスタートアップに転職して、2 年以上定着するのは半数に満たない印象があります。

そもそもスタートアップ自体が人の出入りが激しいのですが、なぜそんなことが起こるのでしょうか。

スタートアップは年収が低い

大企業からスタートアップに転職した人が、スタートアップを離れる最大の理由は金銭面にあります。

スタートアップは求められる仕事の量の割に、給料が低いことが多いです。

給料が低い代わりにやりがい、スキルアップなどを餌に従業員を働かせるのですが、逆にいえば、やりがいやスキルアップの余地がなくなれば、スタートアップで働くメリットはなくなります。

私はスタートアップを名乗る中小企業に、スキルアップのために転職しました。

最初は大企業では経験できなかった仕事に胸をときめかせたりしたのですが、1 年も経つとトキメキはなくなります。 学びは徐々に減っていきます。

どんな仕事も、最終的にはルーティンになっていくのです。

そうなると、「仕事の量は多い割にただただ給料が安いだけ」な環境になります。

やりがいやスキルアップを目的とした転職は、いずれ必ず「やりがいもスキルアップ」もなくなります。

向上心があればあるほどスキルアップも早いので、必然的にその環境で得られるスキルを学びきってしまうタイミングも早くなります。

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メリットが無くなったらさっさと転職するべき

私達はボランティアで働くわけではないので、メリットがない上に給料が安いならば、さっさと転職するのが正解です。

スタートアップで働くような意識が高い連中は

  • 仕事は作るもの
  • 学びがないのはお前の仕事のやり方の問題
  • 新しい仕事を作ればいい

などと色々な理由をつけて給料が安いスタートアップで働く意味を力説するでしょう。

全部無視しましょう。

メリットがなければ働く意味はないし、「仕事を作る」みたいなことをやるなら、自分で会社を作った方が絶対に面白いです。

メリットを考えずに思考停止で会社に奉仕する人は馬鹿です。

馬鹿の言うことをいちいち鵜呑みにしないようにしましょう。

スタートアップで裁量があるとは限らない

「大企業は裁量がない。だからスタートアップで裁量を持って働きたい」という人は一定数います。

間違ってます。

たしかに大企業はくだらない仕事が多いです。

無駄な会議もあります。上司への報連相も面倒です。

大企業で裁量を持つには地位が必要です。偉くならなければいけません。

一方でスタートアップは全て社長次第です。

「部下に任せて責任は俺が取る!」というタイプの人もいれば、何から何まで口を出してくる小姑のような社長もいます。

小姑社長の場合、裁量は大企業以下です。

何をするにも自分で決められず、いちいち社長への報告と相談が必要になります。

マイクロマネジメントする人間への報告には手間がかかります。

スタートアップで裁量アップ!と意気込んだものの、実態はワンマン社長のご機嫌取りに終止するケースも少なくはないのです。

会社の裁量は立場次第であり、上司次第なので、会社の規模は関係ありません。

「スタートアップだから裁量が大きい」みたいな、根拠不明の言説には惑わされないようにしましょう。

スタートアップだから裁量が大きいのではなく、スタートアップは人が少ないから偉くなりやすい。偉くなれば裁量は大きくなる、というのが正しいロジックです。

スタートアップは福利厚生がない

中途の転職では額面の年収を見るべきで、福利厚生は気にしなくていいとはよく言われます。

スタートアップ・ベンチャー・中小企業。呼び方は様々あれど、基本的に福利厚生はありません。

福利厚生がなくて年収が高ければいいのですが、年収が低くて福利厚生もないのが実際のところです。

福利厚生がないと何が不便なのでしょうか。

まず、30 代以降の健康診断がしょぼくなります。

大した話ではないのですが、大企業から転職すると、健康診断の内容が貧相すぎて驚くでしょう。

大企業では毎年人間ドックを受けられましたが、中小企業だと 8000 円くらいの必要最低限の健康診断のみでした。

福利厚生があるかどうかは会社次第

「ベンチャーだから」「スタートアップだから」というくくりで福利厚生を語るのは雑です。

社員に報いる気概のある中小企業も稀にあります。とはいえ、小さな会社は社員に報いると一気に経営が傾いてしまうので、基本ケチってきます。

覚えておいてほしいのは、「報酬は一事が万事」ということです。

健康診断をケチっているような会社は、何かにつけて全部ケチってきます。

「給料が安くて、福利厚生もない」というように、とにかく人件費を少なくしようとしてくるのです。

月給が低く、賞与も低くて、福利厚生がなく、そして昇給もほとんどしない、というのがリアルです。

逆に、良い会社は月給が高く、賞与も高く、ガンガン昇進していきます。

だから、小さなことでケチっている会社には近づいてはいけないのです。

そういう会社しか知らない人は疑問を持たないかもしれませんが、大企業から転職すると、まず間違いなく不満と疑問を抱いてしまいます。

スタートアップはネームバリューがない

大企業にいる頃は「これからは個人の時代。会社のネームバリューなど不要」と考えてしまいがちです。

ですが、会社のネームバリューは思ったよりも自己肯定感に影響します。

ネームバリューがなく、年収が低い会社に勤めると、人に勤務先を教えるのが恥ずかしくなるのです。

大企業から転職した人の方が、そのような「この会社で働くの恥ずかしいな」という感覚を持ちやすいでしょう。

大企業のときは「○○ という会社で働いている」といえば誰もがわかってくれたのに、底辺に落ちてしまった気分になるからです。

会社名を誇る男はキモいですが、ネームバリューが全くない会社で働くのは恥ずかしいことでもあるのです。

こういうことを書くと、反発を覚える人も少なくないと思います。

「しょぼい会社で働くのが恥ずかしい」という感情に素直になりましょう。

大企業から飛び出す人は、しょぼい会社が自己肯定感を下げる現実を見てみぬふりをしがちです。

プライドが高い人は自分の要注意です。

年収を下げると自信も下がります。

ネームバリューというより、大事なのは年収でしょう。

年収が低い会社はクソ、と 3 回唱えてから転職先を決めましょう。

年収の大切さは、年収を下げてから気付くものです。

ボーナスが支払われない

しょぼい中小企業は福利厚生以外にも様々な面で金を払いません。

大企業の場合は、退職した後であっても、「評価の期間」に在籍していれば賞与分が後から振り込まれました。

4~10 月が評価期間で賞与の支払いが 12 月だとします。

11 月に退職したとしても、12 月分の賞与は後から支払われるものでした。

中小企業は 12 月に在籍していないと賞与は払わない、というスタンスでした。

だったら年棒制にしろや、とも思うのですが、何かにつけていちいちケチってくるのがしょぼい中小企業の特徴です。

中小企業はそもそも人がすぐ辞める

大企業から中小企業に転職して驚いたのは、月に 1 人も 2 人も人が辞めていくことです。

入ってくる人も多いですが、辞めていく人も多いです。

大企業では基本的に、あまり人は辞めません。終身雇用を前提にしている人も一定数います。

中小企業は人がサクサク辞めます。 年間で社員の 2〜3 割くらいが入れ替わるような印象があります。

働く側としても役員にでもならない限りはメリットがないので、他に条件が良いところが見つかればすぐに辞めていきます。

中小企業は踏み台として使われるもので、基本的には長く働く場所ではありません。

年収の低い中小企業で長く働く人は 2 パターンです。

相当な無能か相当偉くなった人か、どちらかです。

手を動かすプレイヤー層はあまり定着しません。

残っているプレイヤーも無能が多いので、結果として様々な仕事の進捗が遅れがちです。

また中小企業では、「会社が成長する前に入った無能」が偉くなっている場合もあります。

無能が上司になることも割とあるのです。

「中小企業だから少数精鋭で優秀な人ばかりなはず」というのは幻想です。

中小企業だと、優秀な人は次を見つけてさっさと辞めます。

もっと良い条件の転職先がすぐに見つかってしまうからです。

大企業だから優秀な人が残り続けるとも限りませんが、中小企業は長く働くメリットがない点も覚えておきましょう。

その会社に愛着があったり、慣れ親しんだ環境が好きだったり、会社の事業に共感していたり、転職活動するほどのモチベーションがない優秀な人材もいるため、中小企業に全く人材が残らないわけではありません。

中小企業は人が残りづらい仕様になっているだけです。

給料が安いので当然ですね。


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