新卒で就職したのはいわゆる JTC であった。
Japanese Traditional Company。平均年収 1000 万以上の大手 SIer である。
大手 SIer の仕事の大半はくだらないものだった。誰かに何かを報告するための会議に 1 日 6 時間費やしていた。
「IT 系」とくくられてはいるものの、自分たちがやるのは要件定義までで、設計から実装、テストまですべてを外部ベンダーに丸投げしていた。
技術のことは何一つわからず、SIer の中で人間関係を調整し、ただただ無意味な会議を繰り返していた。
業務を通じて身につくスキルなどない。
学べるのは特定の業界のドメイン知識と、社内で標準化されたプロジェクトマネジメントだけであった。
これらは当然、ポータブルスキルではないので、社外に出ると一ミリも役に立たないものだった。
JTC→ベンチャー→JTCというキャリアの友人からLINE↓
— 川田耕作 (@kawata_tenshoku) July 1, 2022
『朝起きるたびに、年功序列で超ホワイトで退職するまで年収1200万円は確実に保証される特権階級のJTCに自分は所属してる事に途方もない安心感を覚える。毎朝起きるのが楽しみ。ベンチャーからJTCに転職して本当に良かった』
JTC から飛び出し、社員数 100 人程度の中小企業に転職した。
自分たちを「ベンチャー企業」と称していた。
JTC の非効率に辟易していた私は、ベンチャーの響きに高揚していた。
Excel でひたすら管理資料を作るような不毛な作業はなかった。
Jira によるタスク管理、資料は Confluence、ソースコードは GitHub で管理される、といった当たり前のことが当たり前にできている環境に感動した。
最初は「モダンな環境だ」と感動していたが、半年経つと色々と綻びが見えてくる。
まず、賞与の額があまりにも低い。
年収を下げて転職したので当たり前だが、日系大企業時代の 4 分の 1 程度の賞与であった。
また、一つ一つの作業にいちいち社長への報告が必要で、社員の多くは疲弊していた。
実態はベンチャーで伸び伸び自由に仕事をするイメージとはかけ離れていた。
給料の安い会社で、大したスキルアップにつながらない仕事も多く、ただただ年収を下げただけであった。
ここで、日系大企業とベンチャーのメリット・デメリットをまとめてみよう。
JTC(日系大企業)のメリット
- サボっていても平均値まで年収は勝手に上がる
- つまらなくてくだらない仕事で高い給料がもらえる
- 成果を出さなくても賞与にほぼ影響がない
- 出世する人間はある程度優秀
- 福利厚生が良い
- ネームバリューがある
- 合コンやマッチングアプリでモテる
- 会社に誇りを持てる
- なんだかんだ人間同士、仲良くなる
- 同期で仲の良い親友ができる
JTC=日本の伝統的な大企業とは?| JTC と呼ばれる会社の特徴を具体例で紹介
JTC(日系大企業)のデメリット
- 大企業ならではの無駄な作業が多い
- スキルが社内でしか通用しない
- スキルが身につかない
- 無知、無能だが偉そうな年配社員が一定数存在する
- 年齢でキャリアパスを勝手に決められる
- スキルよりも年齢・年次が重視される
- 勝手に異動させられる
- 職務経歴書に書けるような経験が積めない
- 外注に丸投げばかりで仕事が絶望的につまらない
- 作業がビジネスのごく一部となっていて、完全に歯車で自分の作業がビジネスにどうつながっているのか意識できない
ベンチャーのメリット
- 日系大企業よりスキルアップしやすい
- 日系大企業よりモダンな環境で仕事ができる
- 日系大企業よりも会議が少ない
- 日系大企業よりも無意味な仕事が少ない
- 日系大企業のような古臭いしきたりがない
- 上場するために残業時間を減らそうとする傾向がある
- 日系大企業に比べて、職務経歴書に書けるような経験が積める可能性が高い
- 会社のビジネスの全体像が見えやすい
ベンチャーのデメリット
- 年収が低い
- 年収が上がらない
- 何かとケチである
- 福利厚生がない
- 退職金がない
- 確定拠出年金制度がない
- 手当がない
- 成果に追われる
- 成果を出さないと年収が下げられる
- 無能でも上司になっている可能性がある
- ネームバリューがない
- 合コンやマッチングアプリでモテない
- 会社名を言うのが恥ずかしい
- 上場していないベンチャーは残業時間が多い
- 変な総会とか開かれてうざい
- 社長のワンマンになりがちで、社長を崇拝していない人間は萎える
- 上場してしまうと、大企業と同じくらい面倒な決まりごとが増えてくる
- 人が少ないので、契約から稟議、予算の獲得まで全部自分でやらなければならない
まとめ
日系大企業にもベンチャーにもそれぞれ、メリット・デメリットがある。 私の経験上、成長が滞っているベンチャーは雰囲気が悪くなる。 売上アップのために奔走させられて、それでも給料が低いので、辞めたくなる。
そして単一事業に全振りしているので、大企業よりも簡単に経営が傾いてしまう。
ベンチャーに「いち社員」として入るなら、ストックオプションがもらえて、かつ上場できる見込みがないと割に合わないだろう。
最近はスタートアップでもある程度年収を出す会社が増えているが、それは 2022 年までの資金調達が容易だったからである。
金融引き締めによって、資金が循環しなくなれば、給与水準は引き下げられる可能性は高い。
大企業も大企業で、無駄な作業ばかりで何のやりがいもない。 転職したことがない人間が多いので、業務の進め方がガラパゴス化している。
外に比べてものすごく遅れた環境にも関わらず、「自分たちはすごいんだぞう」と勘違いしているケースも多い。
大企業では社内調整ばかりでスキルが身につかなく、成長実感がわかない人がほとんどである。
とはいえ、転職市場ではネームバリューがあるため、ある程度の下駄は履かせてもらえる。
ベンチャーに比べて、経歴的に先方に安心感を与えられるのは私自身が感じてきた。
結論、大企業もベンチャーもクソである。
メガベンチャーしか勝たん。
メルカリ、LINE、マネーフォワードなどのメガベンチャーを目指すのが良い。