筆者はフルリモート勤務の会社とフル出社の両方の会社を経験してきました。 これから転職活動するにあたって、会社がリモート勤務を採用しているのか出社が必要なのかを気にしている人は多いでしょう。
実際に 1 年以上、両方の勤務形態で働いた経験から、これから転職先を探す皆様のために、「フルリモートは実際どうなのか」という点を伝えます。
まずはフルリモート勤務のメリットから見ていきましょう。
フルリモート勤務のメリット
フルリモートのメリットは以下のようなものがあります。
- 自由に使える時間が増える
- 予定を立てやすい
- 転職活動しやすい
- 余計な飲み会がない
- 家賃が安くなる
それぞれのメリットを具体的に見ていきましょう。
フルリモートは使える時間が増える
誰もが想定するかと思いますが、フルリモートは使える時間が 100%間違いなく増えます。 実時間で平日 3 時間以上は使える時間が増えます。
実際の勤務時間が短くなっているわけではありません。 ちゃんと 8 時間働いています。
一体、何が違うのでしょうか。
フルリモートだと通勤時間を節約できる
通勤時間の節約は当たり前ですが、大きすぎるメリットです。
15 分間電車に乗るために、駅まで 10 分歩きます。駅から会社まで 5 分歩きます。 電車がすぐに来るわけではないので、行きと帰りで 10 分は電車を待ちます。
これで合計 40 分は使ってます。 たかが 40 分、されど 40 分です。40 分あればお風呂に入って髪を乾かせるし、食事もとれます。
雨の日や暑い日にわざわざ外に出なくても良いので、精神衛生的にも良いです。
フルリモート勤務だと出かける準備が必要ない
フルリモート勤務だと、家でずっと仕事するので、朝シャワーして、きっちり髪をセットする必要はありません。
起きてすぐパソコンに向かうことができます。
シャワーの時間 15 分と、準備の時間 15 分は節約できます。
着替えを選ぶ必要もないです。永遠にジャージで OK。下は短パン、上は T シャツです。
フルリモートでスーツを着る人はいません。楽な格好で服装に全く気を使わずに 1 年過ごせるのは良いですね。
部屋の掃除や洗濯、食事を勤務時間に済ませられる
このブログは綺麗事なしでリアルを語ります。
正直言うと、フルリモート勤務中に普通に掃除したり、洗濯したり、飯を食ったりしていました。 雑務を「勤務時間」の中でこなしてしまえるのです。
掃除 10 分、洗濯 15 分、食事 30 分を勤務時間にできます。
このような地味な積み重ねで相当な時間を節約できます。
みんながやっているかは「わかりません」
100%バレようがないのです。なので、フルリモートでは合法的に、確実にサボれます。 宅配便の受け取りも調整できますし、昼寝もできます。
1 分も昼寝していない人なんてほとんどいないでしょう。誰も言わないだけで。
筆者としては、なんちゃって成果主義の日系大企業でフルリモートしていた時期が一番楽でした。
何も生み出さなくても家で寝転がって会議に出席するだけで毎月 60 万円以上入ってきたからです。
Zoom は当然画面オフにして、音だけ出して漫画を読んでいました。
当然、技術的にも人間的にも全く成長しなかったのですが、サボって成果を出さなくても金が入ってくるという意味で、日系大企業 × フルリモートは「勤め人の聖域(サンクチュアリ)」だと思います。
リモートワークあるあるなんだけど、気を失う社員が増えます。電話してもSlackしても応答がない社員がいて、どうしたどうしたしていると、「突然の貧血で気を失ってました…!」とのこと。気を失っていたらしょうがないね、とは思いつつ、出社のときそんなに気を失う社員がいたのか?とは思う。
— うらあかちゃん。 (@was_thats) February 25, 2023
フルリモートは予定を立てやすい
出社すると、帰りづらい雰囲気だったり、残業せざるを得ない事件が発生したりで、なかなか帰れないこともあります。
夜に予定を入れても、時間通りに帰宅できないことも多々あったでしょう。18 時過ぎに会話が始まることもありました。
フルリモートだと、面と向かって「早く帰るな」と嫌味を言う人はいません。 業務を終了して文句を言う人もいません。
終わりたいタイミングで仕事を片付けられるのはフルリモートの超絶メリットでした。
他の人がどれくらい働いているかを意識せずに、自分のペースで終了できます。
ただ、残業が当たり前のブラック企業の場合は、フルリモートでもとにかくプレッシャーをかけまくってくるプロジェクトマネージャーはいます。 めちゃくちゃうざいですが、そういうのがいると、フルリモートでも逆に残業が増えます。
会社の物理的な制約がなくなるので、残業時間が青天井になるのです。
フルリモートは転職活動しやすい
こっそり転職活動できるのはフルリモートの大きなメリットです。
出社する場合は、退社後の 19 時から面接が入ることもよくあったのですが、フルリモートだと転職活動をガンガンできます。
私が SIer に出社していた時代、19 時に「早帰り」してから六本木ヒルズのグリーに行って面接を受けたりしていました。物理的な制約がきついため、複数社を同時に受けることはできません。 面接を入れるのも週に 1〜2 社が限界でした。
今思えば、フル出社で激務の会社にいる場合、転職活動する時間そのものが封じられてしまい、完全に詰んでいる気がします。 1 社面接 3 回分、早帰りして脱出するのも辛いでしょう。
転職してキャリアアップしていく計画がある場合、ホワイト企業で働くか、リモートが多少認められている会社でないと詰みますね。
フルリモートだと毎日カジュアル面談と面接を入れることができます。
転職活動の時間が確保できすぎて、逆に転職活動で忙しくなります。
出社しながらの転職活動の忙しさを 10 とすると、フルリモートでの転職活動は 2 くらいでしょう。
転職を繰り返して年収を上げる手法が取りやすい、ということです。
ジョブホッパーはフルリモートと相性が良いでしょう。ちなみにフルリモートは愛社精神が一ミリも沸きません。同僚と仲良くなることもありません。
最初から最後までずっと他人です。単なるビジネスパートナーです。
思い入れがないので、条件次第ですぐに転職したくなります。 個人的には、フルリモートで年収低い会社にいつまでも働いている人は変わった人だなと思います。
フルリモートは楽しくないし、友達もできないし、愛着もわかないのに...それでも給料が安いなんて...
早く転職しましょう。
フルリモートは余計な飲み会がない
日系大企業にありがちな飲み会宴会などはフルリモートだと極端に減ります。
なぜなら、「会社の帰りに飲みに行く」ことができないからです。
「フルリモートの自宅から出る」という大きなワンクッションがあるので、なかなか集まれません。
またフルリモートの場合は、職場から遠い場所に住んでいる人もいるので、物理的に会えないケースもあります。
私はフルリモート勤務中で一度も飲み会に行きませんでした。 コロナの影響もあったかもしれませんが、飲み会自体が存在しませんでした。
逆に言えば、飲み会を通じて絆を深めるような、人と人の当たり前のコミュニケーションが皆無になります。
「会社との飲み会はくそうざい」と日系大企業時代は感じていましたが、嫌な奴がいない飲み会は普通に楽しいものです。
全ての飲み会を拒絶するのは単なるコミュ障ですが、そういう人は間違いなくフルリモートに向いてます。
フルリモートだと家賃が低い地方で仕事ができる
家賃が安いところから仕事ができるのは大きなメリットです。 東京を離れると、同じ広さで家賃が半分になります。
フルリモートで家族がいる場合、仕事用の部屋はほぼ必須でしょう。
東京で 2LDK の部屋に住もうとすると、家賃はほぼ間違いなく 20 万円を超えます。 広い部屋だと 30 万近くかかるでしょう。
福岡や北海道だと半分です。大阪もかなり安かったです。
特に大阪は街も発展していて楽しい上に、東京に比べて家賃が圧倒的に安いので、フルリモートで大阪から働くのは非常にコストパフォーマンスが良いです。
ここまで読んで、フルリモートの求人が気になるな、フルリモートで働いてみたいな、と思った方はぜひ、転職エージェントに相談してみてください。 条件に「フルリモート」と言えば、たくさんの求人を出してくれます。
私の経験では、レバテックキャリアさんは年収が高くてフルリモートの会社に書類を通してくれましたので、おすすめです。
フルリモート勤務のデメリット
遊んで給料をもらうにはフルリモートは非常に美味しいですが、デメリットもあります。 ここからはフルリモートの落とし穴について語ります。
- わからないことがすぐに聞けない
- 集中力が下がって生産性が落ちる
- チャットの印象が悪くなる
フルリモートだとわからないことがすぐ聞けない
転職直後は特にですが、わからないことがあっても隣の人にすぐ話せない/聞けないのは大きなデメリットです。
環境構築して、アプリケーションを動かして、実際に開発を始めるまでにも様々な準備が必要になります。
「ドキュメントに残している」という会社は多いかもしれませんが、地味にドキュメントが陳腐化していたり、必要なデータがなかったりと色々と困ったりします。
そういうときに、隣に経験者がいたら、「すみません、ここって...」と気軽に聞けるのですが、フルリモートだとチャットでわざわざ、
「こうこう、こういうところができずに躓いています。
XXX のページにあるドキュメントには ▲▲ と書いてあって、この通りにやってみたのですが、以下のようなログが出て先に進めない状態です」
みたいな話をいちいち文章に起こして連絡しなければいけません。
このやり取りはものすごく時間がかかります。直接話すのに比べて、生産性は 10 分の 1 以下でしょう。
また実務に限らず、会社には様々な決まりがあります。
何かの書類を提出したり、業務連絡が必要です。
ジョインしたばかりの頃は会社のルールがわからず困ってしまうことも多いでしょう。
困ったときに、いちいちチャットで「すみません、質問があるのですが...」などと連絡を取るのは非常に面倒くさいのです。
隣の人に「すみません、有給の取り方ってどうやるんですか?」と聞けた方が圧倒的に楽なのです。
軌道に乗るまでが出社より大変で、全ての意図を文章にする必要があって面倒くさい、というのはフルリモートの明確なデメリットです。
フルリモートだと集中力が下がって生産性が落ちる
人によるかもしれませんが、出社に比べて自宅は生産性が落ちます。
誘惑がたくさんあるし、気が散りやすいです。
出社は人の目もあるので、頑張れます。
オフィスは間違いなく仕事に集中しやすいと私は思います。
たしかに自宅は静かで、会社よりも騒音がないメリットはあるのですが、それ以上にだらけてしまうことの方が多かったです。
ダラダラ仕事できるのはいいじゃないか、という点もあるっちゃあるのですが、その分成長が遅れてしまいます。
人生は有限なので、最大限の生産性で、一番集中して日中過ごした方が後々楽になれると思っています。
チャットでしかやり取りしないと、印象が悪くなる
チャットで誤解を生まないように、相手を不快にさせないコミュニケーションを取るにはある程度気遣いと努力が必要です。 表情だったり口調で伝えられていた部分をいちいち気遣って丁寧に文章にしなければならないからです。
そういうことができない人もたくさんいます。 エンジニアには特に多いです。
人をイラッとさせるレスを送ってくる奴も組織には必ずいて、だんだん腹が立つようになります。 そういう腹が立つ人も、会って話せば普通に仲良くできたりするものです。
フルリモートだと、ムカつく人といつまでも関係を修復できません。
文章でイラッとする人と仕事をするのは想像以上にストレスが溜まるものです。
もちろん、出社してパワハラ型の上司と仕事するストレスに比べたら鼻くそのようなものですが...。
フルリモートだと愛社精神が 1 ミリも生まれない
私はフルリモートで 2 年ほど働きましたが、フルリモートの会社には思い出が 1 つもありません。
一晩で関係が終わった男女のように味気なく、後に残るものは何もありませんでした。
転職した後も思い出すこともありません。本当、あの日々は何だったのか?と不思議なほど、何の愛着もありません。
スキルはそこそこ身につきましたが、会社に「就職」した感覚は最初から最後まで持てませんでした。
フルリモートだと、人と人とのつながりもなく、自宅から労働力を提供するだけの関係でした。
会社への愛着も帰属意識も生まれません。
ただ時間通りの労働力を提供して、対価を得るだけです。
なので、条件に合わなくなったり、つまらなくなったらすぐに退職してしまいます。
「あの人がいい人だったから」 「こんな思い出があるから」 「長くいて愛着があるから」
のような迷いが一切なくなります。 他に条件が良い会社があれば即転職です。
雑談がつまらない
「フルリモートでコミュニケーションを促す」みたいな催しは度々開かれます。
が、全部滑ってます。
チャット上で雑談会などが開かれますが、基本、めちゃくちゃ盛り下がってます。
全く話が弾みません。人間の雑談はフルリモートに最適化されていません。
表情は見えないし、0.5 秒のラグがコミュニケーションには致命的なのです。
フルリモートで雑談会をすると逆に、私達が目の前にいる人間から 1 秒間にどれだけたくさんの情報を受け取っているかがわかります。
フルリモートの雑談は「会話」というより、「誰かのプレゼンを聞く」ようなイメージです。対話にならないのです。 テレビ電話越しの会話はコミュニケーションではありません。
「連絡」とか「報告」です。
なので、仲良くもなれません。フルリモートの会社で仲良い人は一人もできなかったなぁ。
このようにフルリモートにはメリットもデメリットもあります。
私は現在、出社とリモートを組み合わせてハイブリッドで働ける会社に勤めています。 基本は出社にして、天気が悪いときや風邪気味の日はリモートにしています。
個人的には出社ベースでたまにリモート勤務にするくらいがちょうどいいかな、と思っています。
現在の会社は マイナビエージェントさんの紹介で入ったので、興味がある方がいればぜひ、応募してみてください。
コロナが終わったらフルリモートはどうなる?
間違いなく、フルリモートを終了させる動きが増えるでしょう。
企業としては、できるだけ出社させた方が社員の生産性が高くなるのは明らかだからです。
「出勤時間が無駄」というのは従業員都合の話であり、出社したほうが業務時間内の効率は高くなります。
フルリモートは明らかに離職率が上がります。社員は転職活動しやすいからです。 愛社精神や人間関係を育む機会がないため、条件が悪いと見限られてしまいます。
出社時の雑談から生まれるアイデア・施策も多々ありますが、フルリモートだとそういうコミュニケーションが発生しません。
会話によるインスピレーションがゼロになるのです。
企業からするとフルリモートのメリットは、「フルリモートで働きたい社員を採用しやすい」「福利厚生としてアピールできる」などがありますが、それ以上にデメリットの方が大きいと思われます。
フルリモートで優秀な人を採用しても、ポテンシャルは活かしきれないのではないでしょうか。
【体験談】フルリモートの業務はどんな感じ?サボれる?転職してからキャッチアップするまで
2023 年春以降は、コロナは終了モードになります。一部の医クラと呼ばれる連中が断末魔のようにコロナの危険性を訴える可能性はありますが、世間的には忘れ去られていくでしょう。
政府が「マスクの着用は強制しない」などの号令を出すとともに、リモートは徐々に終了の流れになっていきます。
フルリモートを継続したい場合は、「コロナ後もフルリモートを継続」と明言している企業に転職するしかありません。
全体の流れとしてフルリモートが縮小していくのは確実ですが、フルリモートを継続する企業ももちろんあります。
求職者としてはフルリモートの求人を探すのも一つの手です。レバテックキャリアさんはフルリモートの相談に前向きに乗ってくれる印象がありましたので、迷っている方はぜひ、話を聞いてみてください。