野村総合研究所は年収が高く、ブランド力があり、新卒就活や転職市場でもそこそこ評価されるのですが、2020 年代に入ってから若手の流出が増えています。
コロナでリモートワークを取り入れたことで、転職活動しやすくなった影響も大きいでしょう。
NRI は普段の業務の終了が 21 時になるので、オフィス勤務の場合は転職活動をする時間が捻出できません。ですが、リモート勤務だと日中にしれっと面接の予定を入れることができるので、転職活動のハードルが劇的に下がりました。
最近、転職エージェントの方と話す機会があったので、NRI では実際にどんな人が辞めているのか?
また、どういう会社に転職しているのかを解説します。
NRI の若手(中堅層)の離職が増えている
2000 年代、2010 年代前半の NRI では、辞める人はほとんどいませんでした。
転職する人よりも鬱で来なくなる人の方が多かったように思います。
30 人程度の部署があるとして、転職するのは 1 年に 1 人いるかいないかでした。
鬱になって来なくなる人は 2、3 人いたので、「転職する人よりも会社に来れなくなる人の方が多い」のは感覚的ではありますが、正しかったと思います。
他社に比べて年収が高く、また年収も上がっていきやすいので、当時は辞める理由がなかったのです。
ですが、2010 年代後半になって、社会情勢が変わってきました。
大きな変化は以下の通りです。
- コンサル会社が「システムコンサルタント」を大量に採用し始めた
- 外資 IT が高年収で大量に採用し始めた
- ウェブ系企業の年収が上がり、大手 SIer に残る意味が相対的に薄れた
- DX の潮流に合わせて、事業会社が自社でエンジニア部門を募集し始めた
このような背景もあって、行動力と才能のある若手が「NRI の外」に目を向け始めたのです。
「あれ、この会社でずっとつまらないことするより、外に出たほうが楽しいし、年収も上がるぞ...🤔」
この記事では、転職が増えている背景を詳細に解説していきますが、はじめにおすすめ情報を紹介します。
NRIやNTTデータ、日立製作所などの大手SIerから、コンサル業界への転職を目指している方には、コンサル転職エージェントのMyVisionがおすすめです。
アクセンチュアやBCGなどの外資コンサル出身のエージェントが多数在籍しており、面接対策や書類の添削、年収交渉など外資コンサルへの転職支援が非常に充実しております。
コンサル会社が「システムコンサルタント」を大量に採用し始めた
2010 年代前半まで、コンサルタントといえば「戦略コンサル」でした。
採用は非常に狭き門。
ロジカルモンスターのみが入社できる難関企業で、中の人達は最高難度の就職偏差値を誇るエリート達といったイメージでした。
最近は、普通に SIer から転職できます。
現代では IT(=デジタル) なしで戦略など考えられないし、システム開発の方が普通に儲かるので、大手外資コンサルティング会社がこぞって SI 人材を採用しまくっているのです。
いわゆる「DX人材」ですね。
日系大手 SIer に教育コストを負担させ、いい感じに育った優秀な人間を高年収でさらっていくのが彼らのスタイルです。
昔はコンサルティングファームを「戦略系」「総合系」「IT 系」などと分けていましたが、今はどこも SIer から転職しています。
「新卒でコンサルティング会社に行きたかったが就活で失敗した人」はむしろ、最初に日系大手 SIer に転職した方が近道なようにも思います。
研修も手厚く、1〜3年目くらいまでは先輩が付きっきりで手取り足取り教育してくれるので、システム開発の基礎力は身につきやすいです(ただし、プログラミング能力というより、プロジェクトを管理してシステム開発を進めていくスキルです)
そんな背景で、NRI からコンサル会社に転職する若手が増えています。
NRI の IT 系の部署から入社 3 年目で外資コンサルに転職、年収は 300 万円アップ...みたいなケースが割とあります。 もちろん、ジュニアレベルで 300 万アップという話で、シニアで転職すれば 500 万円アップも十分現実的です。
NRIの30代であれば、年収は1200万〜1500万くらいにはなっているでしょう。 シニアで転職して2000万円近く...というのは普通に聞きます。 NRIもかなり年収が高いので、さほど嫉妬はしませんが、やはり仲が良かった同期が年収をガッと上げて転職した話を聞いたときは、心にくるものはありました。
MyVisionは、コンサル転職に特化したエージェントです。
コンサルタントになりたかった人、コンサルタントになれなかった人、年収を上げたい人、新しい仕事にチャレンジしたい人、システム開発の知識を別の分野で活かしたい人。
転職したことがない人、転職してみようかなと迷っている人。
さまざまな背景の人がいるかと思います。
30代・SIerの方が年収を上げたいなら、最もおすすめなのがコンサル業界です。
コンサル転職エージェントのMyVisionが過去に支援したSIerの方の、転職直後の平均年収アップ額は150万円です。
コンサル業界の特徴として、昇給スピードが非常に高いこともあり、2~3年でさらにもう200~300万ほど年収が上がることも珍しくないので、年収を意識されているSEの方におすすめの業界です。 MyVisionの特徴として、アクセンチュアやBIGなどの外資コンサル出身のエージェントが多数在籍しており、面接対策や書類の添削、年収交渉など外資コンサルへの転職支援が非常に充実しております。
ちなみに「AE」と呼ばれる、いわゆるアプリケーションエンジニアからはアクセンチュアへの転職が非常に多いです。
英語ができて優秀な若手は、マッキンゼーや BCG などの外資コンサルティング会社へ転職するイメージがあります。
NRI からの転職で年収を上げる場合、英語が得意だと有利なケースが多いです。 もちろん、英語が苦手でもなんとかなります。
私のNRIの知り合いでは、BCGに転職が決まった後、入社までになんかすごい高い英会話の集中教育コースみたいなのを用意してもらっていました。 英語力についてはコンサルティング会社側からも手厚くサポートしてくれるようです。
外資 IT が高年収で大量に採用し始めた
NRI は一般的に良い会社です。
しかしながら、2024 年時点で、Google と NRI の両方から内定が出て、NRI を選ぶ人はさすがにいません(2010 年くらいには稀にいました) 年収が違いすぎるからです。
転職活動して、Google から内定をもらう人はそれほど多くないですが、AWS のソリューションアーキテクト にはバンバン転職しているイメージがあります。
Google Cloud やマイクロソフトで顧客をサポートするエンジニアとして転職する人も多いです。
NRI で年収 1000 万だった人が AWS に転職すると、年収が 1800 万になります。
AWSなどのクラウドサービスに限らず、セールスフォースや Adobe のセールスエンジニアになる人もいます。
とにかく、年収がガンガン上がっていきます。 外資 IT は年収面で圧倒的に美味しいのです
年功序列の野村総合研究所で、無能と思えるおっさんが年収 1600 万もらっている一方で、20代若手の自分は年収 800 万で深夜のコール対応に勤しんでいる...px
こんなのは嫌だと、年収 1800 万の外資に転職する若者が増えています。
ただ、外資は日系に比べてレイオフリスクもあるので、ぬくぬくと JTC で働きたい人にはおすすめできません。
といっても、レイオフ時に退職金をがっぽりもらって、クビになってからも転職先は簡単に見つかるので、精神的に凹む可能性はあれど、人生のリスクはそれほど大きくないと私は思います。
外資の有名企業に一度入ることによる、ラベリング効果の方が大きいです。 良い会社で働いた経験は、その人の信用を著しく引き上げます。
格上企業への転職は、できるうちにやってしまいましょう。英会話は普段からやっておいた方が絶対いいです。
やや繰り返しの記述になってしまいますが、NRIのテクニカルエンジニアからは AWS、Google Cloud への転職が非常に多いです。
カムバック採用なんて言葉知らなかった...
— Norio Nishioka (@no_24oka) February 21, 2023
No カムバック採用でフィニッシュです
— ごとけん / Kenta Goto (@kennygt51) February 22, 2023
カムバック採用とは、出戻りを歓迎する、というテイでの採用活動です。
NRI は辞めても出戻りする人もいます。気にせず転職しましょう。
外資 IT に転職するなら、LinkedIn を使うのが一番コスパが良いです。
ただ、「初めての転職」でよくわからない場合はエージェントを積極的に活用しましょう。
特に最初は、年収交渉などのやり方がわからないと思います。初手エージェント、3 社目からは自己応募 or LinkedIn が良いと思います。
私は転職してしまったので、2024年時点でどうなっているかはやや自信がないですが、NRIではエンジニアの部署と営業の部署は分かれているでしょう。 顧客対応は「障害時の報告書を通してだけ」という人もけっこういると思います。
とはいえ、NRIで調整に明け暮れた日々や、プロジェクトの管理に勤しんだ経験は、本当に地味にめちゃくちゃ役に立ちます。 上流の仕事をすればするほど、NRIの経験は役に立ちます(プログラミング能力には役に立ちませんが)
外資ITで顧客のカウンターパートとして仕事をするのも良いですし、顧客のビジネスをサポートするという意味では、コンサルティング会社への転職も視野に入れるといいと思います。
ウェブ系企業の年収が上がり、大手 SIer に残る意味が相対的に薄れた
2010 年代前半にグリーや DeNA が年収 1000 万を提示して皆が驚いていましたが、あれから 10 年経って、ウェブ系エンジニアの年収水準は大きく上がっています。
2023 年だと、普通に年収 800 万以上は当たり前で、優秀な人だと 20 代のうちから年収 1000 万以上をもらっています。
メルカリもエンジニアの年収は 1000 万を超えているし、ファーストリテイリングも年収 1000 万超えですし、イオングループだって、予定年収は 1100 万〜1960 万円になっています。 すごいですよね。
予定年収 1,100 万円~ 1,960 万円 →【イオン G】iAEON チームリーダー ※国内外 300 社以上の事業をテクノロジーで支える
自分を鍛えたい、もっと頑張りたい、手を動かしたい、という人が報われやすくなったのです。
今では「年収1000万」にウェブの人が驚くこともありません。
年功序列の中でぬくぬくしたい人は NRI に残っても良いと思いますが、ウェブ系でモダンな開発を楽しみつつ、年収をそこそこもらいたい人はやはり退職しています。
特に「手を動かしたい」「技術力を身に付けたい」という人にとって、NRI は地獄のような環境です。 Excel と Powerpoint ばかりいじって、定例で報告を繰り返す日々で、技術力を身につけるのは至難です。
それでも NRI は年収が高いから、ブランド力があるから辞められなかったのです。
最近ではウェブ系の年収が上がっているので、嫌な人はさくっと辞めてしまいますね。
DX の潮流に合わせて、事業会社が自社でエンジニア部門を募集し始めた
最近ではウェブありきでビジネスが進んでいくため、「自社でエンジニア部門を用意したい」という事業会社が増えています。
自分たちの商品をウェブを通じて顧客に届けていくわけです。
福岡銀行のような普通の銀行が、自社でシステムを開発して、アプリを通じてサービスを届けようとしているのも一つの例です。
【みんなの銀行】ゼロバンク・デザインファクトリーの技術スタック、サービスの内容について調べてみる
また、システム開発を SIer に丸投げするだけでなく、自社で IT に精通した人材を抱えた上で、SIer と協業していこう、という会社も増えています。
「これから内製するぞ」と気合いを入れて採用している会社は、かなり良い年収を提示してくれます。
NRI を辞めてもそれほど年収を下げずに転職できるため、「それなら楽しく内製したいぜ」と転職していくわけです。
野村総合研究所から野村證券の IT 部門に転職していく人もいました。 流通系の部署の場合はセブン&アイグループの IT 部門に転職する人もいるかもしれませんね。
ただ、個人的には toB 向けの開発で責任の重さと動きの鈍さに疲弊した人こそ、toC 向けのアプリケーション開発に関わってほしいと思っています。
toC 向けの開発は本当に楽しいですよ。ユーザーの動きを分析して、企画して、実装して、ユーザーが増えていく過程がめちゃくちゃおもしろいです。
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上級専門職になると転職できない
NRI で転職が多いのは 40 歳くらいまでです。 それより年齢が上がると、スキルと年収が釣り合わなくなるため、転職する人はほとんどいなくなります。
「NRI を辞めたい」と考えている人は 38 歳くらいまでに行動した方がいいでしょう。
NRI では、同じ部署で長くずっと働き続ける人が多いと思います。
転職するときは「職務経歴書」という紙に自分がやってきた経験を書いていくのですが、同じ部署で同じシステムの保守・運用ばかりしていると、職務経歴書に書ける内容がものすごく薄くなります。
リーダー経験やマネジメント経験を絞り出して色々とアピールしたくても、長年 1 つのシステムを担当していただけなら、どうしても書ける内容は凡庸で退屈なものになります。
一生懸命仕事をしてきたことが評価されるのではなく、「どんな経験をして、どんなスキルを身に付けてきて、そのスキルは新しい会社でも使えるのか」が重要だからです。
30 代半ばで NRI から転職しようとしている人は、1 社目の転職はかなり苦労するかもしれません。
年収を上げて転職できる先は外資 IT かコンサル会社に絞られます。アクセンチュアに転職する人は多いですね。
ウェブ系のプログラマだとスキルセットが違いすぎて、渋い反応をされる可能性が高いです。 ウェブ系でもプロマネ職での求人があれば歓迎されやすいので、そちらを目指すのが良いでしょう。
1 度転職して、転職市場で評価されるスキルを身に付けた後は、その次からの転職活動はものすごく楽になります。
NRI での経験と掛け算で評価してくれるようになります。まず 1 社、次の会社を見つけてください。 そこで専門性を磨いてください。
磨いた専門性と、NRI で培ったプロジェクトリードの経験をかけ合わせて、次の転職でアピールしてください。
転職エージェントに相談すれば、特に現在の職場にバレたりすることなく、ノーリスクで現在の転職市場の状況を教えてくれます。 自分のスキルセットが転職市場で評価されるかも教えてくれるので、気軽に利用してみるのがいいと思います(現時点で転職する気がそれほどない場合は「今すぐ転職は考えていない」という意向を選択できます)
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