「野村総合研究所 激務」で検索して出てくる記事が実態を反映していなかったので、もう少し社員目線で NRI の激務さ、辛くて辞めたいのかどうかを解説します。
結論から先に書くと、
「好きで仕事している人はほとんどいないにも関わらず、皆、とにかくよく働き、激務であることを全く苦にしない」
という不思議な性質を持つ人材がとても多いです。好きじゃない仕事を長時間続けられる精神力の持ち主がとても多いのです。
NRI 社員は放っておくといつまでも残業します。
月末には「会社で決められた残業時間の上限」を超えないように、色々と勤怠を工夫する人間が現れます。
社内では
「今月、残業やばいっすよ」
というセリフをよく聞くのですが、「残業やばい」とは、「残業時間の規定上限に到達しそうなくらい働いている」という意味です。
「俺は上限ギリギリまで働くほど忙しくて、会社に怒られちゃうなーやばいなー。
だから本当は帰りたくないんだけど、働く気満々なんだけど、早めに帰っていいですか」
みたいなアピールをするために間接的に使われます。
昔からずっと、働いているアピールする人が多いです。 逆に言うと、長時間労働していない人は人権がなくなりがちです。だから皆、忙しそうな姿を見せようとします。もちろん、本当に忙しい人もたくさんいます。
野村総合研究所が激務な理由
野村総合研究所が激務な理由は、「文化」です。
「は?文化?」と思われたかもしれませんが、「帰れない雰囲気」「仕事を何より優先して当たり前な価値観」が全社員に共有されています。
新人研修が終わり、現場に配属されてからは「帰るな」という針のような空気を感じることでしょう。
「新人には残業させない」という方針があるので、1 年目は早めに帰れるかもしれません。本来であれば、残業代が出る 1 年目こそ、たくさん残業したいのですが、皆、残業代が出なくなってからの方がよく働きます。
社内には仕事とプライベートを両立させる、という発想がないです。
とにかく仕事が最優先になります。
たとえ仕事がなかったり、自分の仕事が完了していたとしても、NRI 社内においては、19 時前に帰るのはものすごく気まずいです。
もちろん、皆が「気まずい」という理由だけで居残っているわけではありません。本当に忙しい人もいます。
ではなぜ NRI 社員が忙しいのかというと、日中会議ばかりしているからです。
10 時から 19 時までみっちり会議が入っています。
自分の作業をする時間が全くないのです。
日中の会議が終わって、18 時以降から自分の作業に取り掛かります。スタートから残業状態で始まるです。
「強くてニューゲーム」ならぬ、「弱くてニューゲーム」です。開始から残業。そして裁量労働で残業代は出ない!
昔は会議中に内職して頑張っている人もいましたが、あまりにも会議中の内職が増えたので、2010 年代の後半からは「内職やめようぜ」と言い出す人が出てきました。
「内職するなら会議に参加しなくていいよ」と。
上からそう言うのは簡単ですが、「とりあえず呼ばれる会議」はとても多く、それらを全部キャンセルしていたら、やっぱり気まずくなります。
かといって放っておくと、会議は労働時間をパンパンに埋め尽くすほどに勝手に増殖していきます。
何か問題が起こるたびに新しく「定例」と呼ばれる会議を増やすのですが、一度定例を作ってしまうとやめるのは非常に難しいのです。
定例をやめて、何か問題が起きたら困るからです。失敗を詰めまくり、「なぜ」「是正せよ」とうるさい上層部に細かく報告する文化があるので、どうしてもゼロリスクを志向してしまいます。 とにかく失敗のコストが高いのです。怒られるから。
結果として、会議は減らず、内職は禁止され、自分の時間も確保できません。
当然、残業は増えます。
ですが、NRI 社員も阿呆ではありません。どちらかというとエリート寄りでしょう。
NRI 社内では「生産性をあげよう」と常に意識しています。
生産性を上げるためにテストの自動化を推進したり、アジャイルを取り入れたりと色々と試行錯誤していましたが、「そもそも無駄な会議が多すぎる」という最大の矛盾については誰も指摘していませんでした。
無駄な会議を無駄だと思っていないのかもしれません。
1 日 8 時間の稼働でプロジェクトの計画を立てているのに、1 日に 6 時間も会議してたら生産性など上がるわけがありません。会議で長々と「生産性をどうやってあげよう」と話しているのが既に矛盾しています。
NRI 社員の仕事は「管理」です。
協力会社や部下に作業させて、その進捗を「管理」します。
管理するなら、作業者に作業内容を報告させないと管理する人間の存在意義がなくなってしまいます。
自分の存在意義がなくなるのは誰だって嫌です。だから報告会議はなくなりません。
NRI のシステムは多数のシステムが組み合わさってできています。
データが流れてくる元のシステムを担当するチームと、データを流していく先のチームは別です。
そんなチームの人たちとも連携してシステムを作らなければいけません。必然的に、お互いの進捗状況を共有する会議は増えていきます。
基盤チームとアプリチームも分かれているので、基盤とアプリで認識を合わせるための会議も入ってきます。
部長や GM に進捗を報告するための会議も入ってきます。
自チームには複数の協力会社が所属しており、それぞれのチームから進捗の報告を上げさせるために、また会議が設定されます。
とにかく会議だらけなのです。
「膨大なインプット」は激務に関係ない
NRI の業務は
- システムの要件定義
- システム設計
- コーディング
- システムの単体テスト
- システムの複合テスト
を全部やらなければいけない。
だからインプット量が多くて激務である、と書いてある記事がありましたが、これは激務の理由とは関係ありません。適当なこと言うな。
そもそもコーディングは 新人以外はやりません。1 年目のコーディングも形式的なもので、年間 10000 行分のコードを書いたという実績を報告するだけのおままごとです。
行数で習熟度を測るあたり、何もプログラミングをわかっていません。そんなもんです。
要件定義や設計は研修でみっちりやりますが、研修をやったからといって何か理解が深まるわけでもありません。所詮座学です。
要件定義のスキルは現場で経験しながら磨いていきます。まぁ、保守・運用ばかりやらされる人がものすごく多いので、大規模開発の要件定義が経験できるとは限らないのですが...。 また、経験できたとしてもウェブ系の要件定義とは全くやり方が違うので、SIer 以外の転職先ではほぼ役に立ちません。人と人の間を調整するソフトスキルは意外と役立ちます。
NRI の社内標準の設計書があるので、その社内標準に沿ったシステム開発の流れを延々と繰り返していくイメージです。
要件定義や設計は重要ですが、NRI の激務の要因は「見積もり」「計画作成」「進捗管理」が重いのが大きいです。
計画作成の作業の中には要件定義も若干入ってきます。 とにかく詳細な計画を作成し、何度も何度も会議に通す作業が求められます。
プロジェクト計画会議を通じて、ステークホルダーに計画を報告するのがプロジェクトマネージャーの重要な仕事です。
1 週間単位で細々(こまごま)と見積もりを行い、工数パズルを組み上げて、プロジェクト計画書を作って上長に報告するのです。
日々の仕事では、協力会社の進捗管理や報告資料に忙殺されます。やりがいがあるかといえば、別にないです。
やりがいを持って働いている人は見たことがありません。皆、激務で忙しい自分が好きなだけで、仕事自体を楽しんでいる人はいませんでした。 皆、辛そうでしたが、「辛い自分」が好きなようにも見えました。楽しそうな人は一人もいなかったのですが、夜の 20 時を過ぎると、テンションが上がり始める人が何人かいたように思います。
若手時代は、20 時以降はなんだか会社の雰囲気が少しだけ柔らかくなったように感じていました。
NRI で深夜勤務はあるのか?
深夜勤務は頻発します。 特に古いシステムの保守・運用担当になると夜間コールがかかってきます。
夜間コールというのは、システムのバッチ運用などで異常が発生したときに、システムを監視しているオペレーターから電話がかかってくる、というものです。
「コール担当」と呼ばれる電話受け担当がチームに 3 人くらいいて、順番に電話がかかってきます。
電話を取った人が夜中に起きて、障害の原因調査を行って対応することになります。
顧客の業務が始まる前にシステムを正常に動かさなければいけないので、深夜にも関わらずみんなアドレナリンが出て、目をギラギラにしてパソコンを叩きます。
NRI に就職した新卒が保守・運用を担当するチームに配属される確率は 80〜90%くらいです。
レガシーなシステムが大きな収益を生んでいるので、仕方ないでしょう。 新規構築したシステムもいずれ、保守・運用フェーズに入ります。
保守・運用で利益を生んでいるのです。
また、数ヶ月に 1 度、リリース対応があります。 リリースは金曜の夜から土曜の朝にかけて行われることが多いです。
顧客の業務が終わってからリリースするわけです。
リリース日の金曜は、リリース担当者は深夜勤務になります。 待ち時間は椅子や机で器用に寝る人もいますし、寝ない人もいます。
割と辛いですが、深夜勤務ならではの謎のテンションで協力会社の方々と話せるのは、楽しいひとときでもあります。
NRI の仕事は「辛い」のか?
「NRI 辛い」などと検索のサジェストに出てきます。
辛いか辛くないかで言われると、大半の人が「辛い」と思います。
辛くない人はサボっているとみなされるような雰囲気があります。
NRI では辛いのがデフォルトなのです。
なぜ辛いのでしょうか?
- 勤務時間が長くて辛い
- 進捗会議で詰められるのが辛い
- 成長を感じられなくて辛い
- 同じことの繰り返しで辛い
- 上司が嫌な奴で辛い
など、色々な理由があります。
NRI に入社する時点で「勤務時間が長い」のはほとんどの人が覚悟してきているので、「勤務時間が長くて辛い」という人は実はあまりいません。
NRI で働いていると、「勤務時間が長いのが当たり前」になるので、あまりストレスを感じなくなるのです。
それよりも高圧的な人間によるプレッシャーや業務内容の退屈さに辛みを感じている人のほうが多い印象があります。
もちろん、30 代、40 代になると家族ができる人も増えてきます。 平日は家族との時間を過ごしたいのに、NRI にいたら全く家族と過ごせない、こんな生活を延々と続けるのは無理だ!といって辞める人もいます。
ですが、これは「辛くて辞める」というより、プライベートを大切にするために前向きに仕事を変えるパターンです。
NRI を「辞めたい」という人は本当に退職する?
「辞めたい」という人はけっこういますが、ほとんどの人は辞めません。
野村総合研究所は年収が高いので、辞めても年収が下がってしまいます。
また、野村総合研究所はブランド力もあり、そのブランド力が自己肯定感を高めてくれます。
年収とブランド力を捨て去るのはなかなか難しいのです。
仕事ができなくてもクビにはならず、年収 1200 万までは誰でも到達します。
「辞めたい」と言っている人が辞める確率は非常に低いです。
本当に辞める人は黙って転職活動して、黙って辞めます。
当たり前ですが、転職活動は現職に気付かれないようにやるので、転職に向けて具体的なアクションを起こしている人は「辞める」みたいな発言をしません。
浮気している男が浮気について語らないのと同じで、転職活動している人は「辞める」と言わずに黙々と面接をこなします。
退職は 20 代、30 代の人が多いです。
前職、みんな転職していくじゃん
— あんどぅ (@integrated1453) January 17, 2023
年明けてから5人聞いた。そんな時期か
20 代はウェブ系に転職する人、コンサルティング会社に転職する人が多いです。 アクセンチュアやボストンコンサルティンググループなどに転職する人もいますね。アクセンチュアは特に多いです。
30 代は外資系 IT に転職する人が多いです。事業会社の IT 部門に転職する人もいます。 AWS に転職すると年収が 1800 万くらいになります。
40 代で転職する人は少ないですが、たまにいます。 ベンチャー企業の役員として転職する人、別の事業会社の IT 部門の部長として転職する人などがいました。
大企業からベンチャーに転職するメリットとデメリット、やりがいを経験者が語る
NRI からベンチャーに転職すると、ベンチャーのショボさが目に付くのであまりおすすめできません。 間違いなく給与の低さにヘコむことになります。ベンチャーを「ウェブ系キャリア」の踏み台にするならいいですが、長く働く場所ではありません。
ベンチャーに夢を見るな!やりがいもないし給料も安いブラック環境が現実
エンジニアをやるなら、できればメガベンチャーに転職しましょう。中小企業は 1〜2 年以上いてもあまりいいことはないので注意が必要です。
30 代で年収 2000 万で残業なし、と外資 IT の年収の高さは際立っています。
私が給与買取屋さんに情報提供した理由。
— サカモト@エンジニアキャリア論 (@sakamoto_582) January 23, 2023
1. 普段私がリーチ出来ない層にコンテンツを届け、エンジニアに興味を持ってもらいたかった
2. 給与買取屋さんの給与の透明化の考えに共感
3. とりあえずコラボしたら祭りになりそう
1000円もらう代わりに名前載せてコラボしてと頼みました! https://t.co/oAxxbnXe0b
転職活動はオファーが出たもの勝ちなので、初手は外資を狙っていくのが一番良いと思います。
30 代で転職する人はけっこう多いですが、やはり建前は色々あれど、つまらない仕事をずっと続けていく未来が明るいようには思えない、という人が多かったのではないでしょうか。 転職理由で本音を語る人はほぼいないので、あまり参考になりません。というより、語ってる自分自身が、本音を言語化できていない人がほとんどです。
みんな綺麗事を言ってやめていくので、実名の他人が語る転職理由は鵜呑みにしないでください。