高年収でかつ激務で有名な野村総合研究所の残業時間について、リアルな数値を紹介します。 会社のホームページで紹介されている「健康管理時間」なるものは実態がよくわからない数字になっていて、あまり参考になりません。
2010 年代半ばに「観察時間は健康管理時間で管理することになった!これが健康管理時間の計算式だ!」と組合の人から説明を受けた気がしたのですが、私にとっては最初から最後までよくわからないままでした。
たぶん、他の人もあんまりわかってなかったと思います。
もしかしたら「1 日 8 時間以上の労働は残業時間とする」のを小難しく表現した計算式だったのかもしれませんが、知ったからといって残業代が出るわけでもなく、無関心でした。
入社 3 年目以降(院卒は 2 年目から)は「裁量労働制」という名の「定額働かせ放題」の状態なので、残業時間の算出がどうだろうとあまり興味がないのです。
とりあえず、この記事では一般的な基準に合わせて、1 日 8 時間労働とした場合の残業時間を「私の主観で」考えてみます。
ちなみに私の主観は 2022 年くらいまでのもので、それ以降の情報ではありません。 おそらくしばらくは残業文化は変わらないとは思いますが、リアルを知りたい人は OpenWork などを覗いてみてください(2023 年時点ではこの記事で書く内容と口コミにほぼ相違ないです。相変わらずなんだな、という印象です)
野村総合研究所の残業時間はとても多い
結論からいうと、野村総合研究所(NRI)の残業はとても多いです。 「多い」とはどれくらいかというと、1 日の勤務時間を 8 時間とすると、平均で 40 時間は残業します。
「健康管理時間」という社内の指標で残業時間を算出していますが、一般的な企業でいう平均 40 時間の残業をイメージするとわかりやすいです。
「平均」というと、極端に多く残業している人とほとんど残業しない人の中間、とも取れるかもしれませんが、野村総合研究所の場合はほぼ全員、漏れなく 40 時間近く残業します。
よほどの根性の座った窓際でない限り、みんな残業しています。
よく言うと責任感が強く、悪く言うと「残業至上主義」の文化があります。
よって、18 時台に会社を出ると、周りの人からは早帰り扱いされます。
みんな 20 時以降の遅い時間に会社を出るのですが、出社が 9 時 30 分とか 10 時の人もけっこう多い点は注目に値するでしょう。 朝が遅くてもあまり文句は言われませんが、だいたい 10 時までにはみんな出社します。
帰宅がいつも真っ暗なのでめちゃくちゃ働いているように感じますが、10 時に来ている人は、体感よりも実際の残業時間は少なくなります(出社が遅いので)
1 時間お昼休憩があるとして、9 時から 21 時まで働いて、1 日 11 時間労働が週に 3 日。 9 時から 20 時までの 「ちょっと早めに帰る」意識の 10 時間労働が週に 1 日という感じです(稀に 19 時に早帰りする) 週に 1 日は 22 時まで残るイメージです。
となると、月に 20 営業日があるとして 60 時間くらい残業してもおかしくはないのですが、みんないい感じに 45 時間に収まるように数字を調整しています。
「控除」という数値を勤怠管理につけて、1 時間分残業時間を減らしたりします。
現在はどうなのかは知りませんが、夜中にシステムコールがかかってきて 3 時から 5 時まで対応しても、業務時間につけない雰囲気がありました。 強制されていたわけではありませんが、「滅私奉公するのが当たり前」のような空気があったのは確かです。
もしかしたら現在では、ワークライフバランスを改善しよう活動の一環として、深夜の業務はちゃんと勤務時間につけるようになっているかもしれません。
NRI の残業が多い理由
野村総合研究所は以下のような理由で残業が多くなります。
- 会議が多い
- みんな帰宅しない
- プロジェクトの遅れを残業でカバーする
会議が多い
野村総合研究所の業務では、普段は会議がものすごく多いです。
若手でも 1 日 3 時間以上は会議が入っています。 マネージャー層になると、日中は予定の隙間がなくなります。
10 時から 18 時まで、すべて会議で埋まっている状態です。
18 時から資料作りなどの作業を始めるので、必然的に残業時間は長くなります。
会議が増えるのは、定例が多いからです。 色々な人が関わってシステムを作っていくので、関係者への情報共有のための定例が無限に増えていくのです。
外部システムだけでなく、協力会社ごとに「○○ 会社定例」が入ってくるので、一つのシステムの開発に 5 つの外部システム、4 つの外部ベンダーが入ると、それだけで 9 時間分の定例になります。
その他に、チーム内での進捗報告定例、部署内での進捗報告定例、障害是正会議などが入ってきます。
さらには委員会活動や営業チームとの定例、課題の棚卸し定例などが毎週毎週設定されています。
会議室は有料の会議室以外はほぼ埋まっています。
みんな帰宅しない
野村総合研究所では明らかに「帰りにくい雰囲気」があります。
誰も帰らないからです。
個人の実績が見えにくいので、残業時間で貢献をアピールする傾向があります。
成果主義というより、努力主義に近いです。
早く帰る人はサボっている人、遅くまで残っている人は頑張っている人とみなされます。
遅くまで残っている人が評価されるのではなく、早く帰る人が減点されやすい傾向があります。
また、社内には「仕事の優先順位は何より高い」という共通の認識があります。 仕事があるなら帰らないし、プライベートを仕事より優先するなどもってのほかです。
「いつまでも働けるのは幸せなことだ」と言わんばかりのプロジェクトマネージャーもいます。 とにかくプロジェクトマネージャーが 22 時まで仕事をやめないので帰りづらい、というプロジェクトが多数あります。
社内で飲み会が設定されることがたまにありますが、大半の社員は堂々と遅れてきます。
20 時にお店を予約させておいて、22 時まで店に来ない、みたいな人間がたくさんいます。それを「悪い」と思ってもいないのです。
「仕事があるなら、飲み会の予定があっても遅れて当然」という共通の認識があります。他社から見ると常識がないのですが、NRI 社内では「社内の飲み会は遅れるもの」というのが常識です。
その割に、本部長や役員などの偉い人との飲み会があるときは絶対に遅刻せずに、社内の仕事よりも優先順位をあげて、キッチリ時間通りに参加します。 それができるなら、普段の飲み会も時間通りに参加するべきです。
人によって態度を変えるのは非常にみっともないことであり、その自覚がないのは頭が悪いです。
NRI 社員がこの記事を読んでいたら、社外の友人のこの記事を読ませて、感想を聞いてみてほしいです。
「新人に飲み会を予約させて、新人以外のチームメンバー全員が遅れてくるのって普通なの?」
プロジェクトの遅れを残業でカバーする
プロジェクトは基本的に遅延します。
工数的には 1 営業日 8 時間で見積もっていますが、日中は会議ばっかりだし、見積もりが当たることはまずないので、だいたい遅延します。
その遅延をカバーするために、誰もが残業しています。
「プロジェクトの進捗報告定例」みたいな会議が毎週あります。
「なぜ遅れているの?」とプロジェクトマネージャーが詰問し、それに対して、
「いや、残業でカバーします」
といった返答がけっこうな頻度で発生します。
残業でカバーした状態が 2 週続いたなら、そもそもプロジェクトのスケジュールがおかしいのですが、NRI ではスケジュールは絶対です。 スケジュールを守るために、ひたすら残業します。
協力会社のメンバーも夜遅くまで残業します。
平均的な出社時間と帰宅時間は?
9 時〜10 時に出社して、20 時〜21 時くらいに会社を出る人が多いです。 22 時までには退社しなければいけません。
電車で 1 時間くらいかけて通っている人が多いので、平日は自分の時間がほぼ無くなると考えて間違いはないでしょう。
勤務地が横浜のみなとみらいなので、東京の住宅街や埼玉、鎌倉や武蔵小杉から通っている人が多い印象があります。
社内に食堂があるので、そこで夜ご飯も済ませてしまう人がけっこういます。
平日に合コンに参加したりデートはできる?
平日でも合コンやデートはできます。
「この日は用事があります」と言っておけば、"特別に"19 時頃に退社できます。
Outlook に「予定あり」と登録しておきましょう。
ただ早帰りはあくまで特別なことであって、毎日 18 時、19 時に帰れるわけではありません。毎日 19 時前に帰っていたら「暇な人」扱いされます。
強調しておきたいのは、NRI 社内において、19 時は早帰りだということです。仕事がなくても仕事したふりをして 20 時までは残らなければなりません。
みなとみらいのオフィスに引っ越す前は、デスクにパソコンを出しっぱなしにして「トイレに行くふりをして帰る」人もいました。
みなとみらいのオフィスに移ってからは、一応名目上はフリーアドレスなので、パソコンを出しっぱなしで帰ると怒られるようになりました。
ちなみにみなとみらいオフィスのフリーアドレスは形式上の話であって、実際はほぼ固定席です。決まった席に決まった人が座っています。
休日出勤や夜間勤務はあるの?
休日出勤は定期的に入ります。
金曜にリリースして土曜日に出社するパターンが多いです。
夜間勤務、というよりコール対応で深夜に叩き起こされることが頻繁にあります。
古いシステムの保守担当は週に 1 度は夜中の 3 時にバッチの実行に失敗して、対応しているイメージがあります。
私が在籍していた頃は、深夜対応の残業手当などは支払われていませんでした。
夜中にコールセンターから電話がかかってきて叩き起こされます。 精神衛生上、非常に良くないです。
年収が低かったら即退職を考えるレベルの不快さです。
裁量労働制だが裁量はない
裁量労働は 1 日何時間働いても一定時間分働いたとみなされるような仕組みですが、思ったよりも裁量はありません。
朝から会議があったりするので、意外と午前中にはみんな出社しています。
夕方に帰ったりする人もほぼいません。だいたいの人が会議に縛られているし、会議がなくても「周りの人の勤務時間」に合わせて、暗黙の出勤時間が意識されるような感じです。
ただ、フルフレックスでいちいち勤務状況を報告しなければならない会社に比べると、日中に離席してスタバに行くのも自由ですし、適当に休憩しても何も言われないので、そこは楽だと思います。
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人によっては早く帰るが、早く帰る人は出世街道から外れる
会社から早く変える人も稀にいます。
10 人に 1 人くらいの割合で、残業時間が 20 時間未満の人もいます。
度胸があれば早く帰れる環境ではありますが、空気的には早帰りは許されないです。
それでも早く帰っていると、だんだん仕事が振られなくなります。
残業している人を「頑張っている」とみなす雰囲気があるからです。
18 時以降に重要な何かが決まったりもします。
会社で出世したい人はとりあえず遅くまで働いていた方が無難です。
あまりにも早帰りを続けると、「万年主任」と呼ばれる一生上級専門職に上がれないおじさんになります。
それでも年収 1000 万はいくのですが、2022 年以降の新人事制度だと、働かない人を降格させられるようになったので、「40 代で主任レベル」とかはかなり風当たりが強くなり、もしかしたら年収 1000 万いくかいかないかの微妙なラインまで下げられるかもしれません。
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NRI にサービス残業はある?
裁量労働制に切り替わった後は基本的にサービス残業です。
ちなみに「専門職」という役職以降は裁量労働制に移行します。 膨大な残業時間は基本「サービス残業」となります。
残業代は出ません。給与水準が高いので不満は出ませんが、誰もが考えないようにしている点も否めません。
また、「残業時間を控除する」という人もいます。
「45 時間以上の残業をつけてはならない」みたいなルールがあるので、そのルールを守るために「労働時間を減らす」のです。
勤怠管理システムに毎日 30 分、休憩時間を設定するだとか、出社 15 分後、退社 15 分前に勤務が終了していたことにするだとか、色々な姑息なハックを考える人間がいます。
救えないのは、そういう勤怠をハックする人間が「会社への忠誠心が高い」とみなされて、なんとなく褒められる傾向がある点です。
リモートワークが導入されてからハックして褒められる傾向はさらに強くなった感じがします。
といっても、残業しないという選択肢はありません。 入社前に「残業に対する異様な文化」は覚悟しておく必要があります。
ホワイト企業から転職すると驚くと思います。
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NRI は残業しないとクビになる?
NRI は残業が当たり前、激務上等の文化はありますが、別に残業しなくてもクビになりません。気まずいだけです。
私の記憶では、40 歳を過ぎたあたりから、やたらと残業しまくる人とさっさと帰る人で二分化していました。
ただ、大きなプロジェクトのプロジェクトマネージャー(40 代)はたいていハードワーカーです。そういう人の下で働くと、部下もハードワークを暗に強要されるので地獄になります。
NRI は子育て女性にはめちゃくちゃ優しい
出産後の女性にとって、NRI はボーナスステージです。 というのも、お子様がいる女性が NRI 的な残業を続けるのは不可能なので、みんな時短勤務を選びます。
15 時頃に「お迎え」の時間があるので、9 時〜15 時くらいの時短勤務としている人が多いです。あまり大きなプロジェクトにはアサインされず、コールセンター部門の統括みたいな仕事をする人が多かったです。
だからといって年収は下がらないので、非常にお得といえます。
男性で時短勤務している人は見たことがないですが、女性にこそ NRI はおすすめしたいです。 さっさと子どもを作って時短勤務にすると、超ホワイト企業になります。
もちろん、バリバリ働きたい人は大歓迎されます。頑張りたい人と女性には優しい会社です。
NRI に転職したい人は、マイナビエージェントを使って応募するのがおすすめです。
エージェントとのパイプが太く、書類通過の確率がかなり上がります。