2022 年 11 月 16 日、Nuxt3が正式リリースされました。
Nuxt2 を使っていた多くの企業が移行に四苦八苦しているのが現状です。
その背景として、Nuxt2→Nuxt3 へのアップデート + Vue2 → Vue3 のアップデート、周辺ライブラリのアップデートを全部同時にやらなければいけない点があります。当然、地獄です。
以前の Nuxt2 は Vue3 に対応していなかったため、Nuxt2 を使っているプロジェクトでは Vue2 を使うしかありませんでした。
そのため、Nuxt Composition APIというライブラリを使って、Vue3 の Composition API 的な書き方を Nuxt2 で使えるようにするのが、Vue2 + Nuxt2 の「モダンな書き方」でした。
しかしながら、Nuxt Composition API のライブラリを使っていたからといって、Vue3 + Nuxt3 のプロジェクトへの移行がスムーズにいくわけではありません。
Nuxt Bridge なる移行用のバージョンを使って色々書き直そうとしても、まず動きません(Nuxt Bridge とは、 Nuxt 3 の機能の一部を Nuxt 2 でも利用できるようにしたライブラリです)
Vue2 + Composition API で作ってきたプロジェクトでもスムーズに移行できないのであれば、Vue2 + Option API で作ってきたプロジェクトがさらに混乱するのは想像に固くありません。
半年以上の開発期間を投じた程度の規模の Nuxt プロジェクトであれば、コード量も多いはずで、そんなプロジェクトで「移行ガイド」どおりにアップデート作業をして、すぐに正しく動作する可能性はゼロでしょう。
少なくとも初めにこの記事を書いた 2022 年夏時点では、ガイドどおりにやっても必ずどこかに躓いてしまう、という罠がありました。
そこそこの規模のNuxt2プロジェクトをNuxt3に移行したいけど、3どころかNuxt bridgeに上げるだけでもパワーがいるなぁ
— K@個人開発するエンジニア (@k_urtica) July 22, 2022
というかNuxt bridge自体に結構バグがあってどうにもならない、、
Nuxt2 から Nuxt3 へのアップデートは破壊的変更が多く、そのままバージョンアップしても動きません。
2022 年秋時点では Nuxt Bridge の動作も不安定で、解消できないエラーが多数発生する可能性が高いです。
Nuxt3 は Vue3 を前提にしています。
Vue2 から Vue3 にアップグレードするにあたり、使っているライブラリの大幅な修正も必要となるでしょう。 メンテナンスが止まっているライブラリは乗り換えも必要です。
あれ?今のVuetifyは、Vue3まだ対応してないのか😥
— yura (@kyuratan) September 13, 2021
Vue3に対応するUIフレームワークというと、lonicとか?lonic使ったことないな…とりあえず試してみるか。#vuejshttps://t.co/2BktQuxEqh
ちなみに Vue 界隈でよく使われている Vuetify。
この記事を執筆した 2022 年夏の時点ではまだ Vue 3 がサポートされていませんでした。
Nuxt のプロジェクトで Vuetify を使っている人は、Vuetify の Vue3 対応後に急いで UI 全体のコードを書き直さなければいけなくなる可能性もあります。
本当に大丈夫ですか?間に合いますか?
Vuetify の現在のバージョンは Vue 3 をサポートしていません。 Vue3 に対応する Vuetify v3 がリリース予定です。 新しいプロジェクトを作成する場合は、Vue CLI プロンプトから Vue 2 を選択したか、既存の Vue 2 プロジェクトにインストールすることを確認してください。 Vuetify
2022 年 11 月以降は Vue3 + Vuetify3 への移行ログもちらほらと出始めていますが、修正規模は割と大きめなことがわかります。
コード変化量は +21,471 行、-14,585 行。修正ファイル数は 183 ファイルで収まりました。 リードタイムとしては 2 週間程度、作業時間としては、うーん...合計 60 時間ぐらいかな? 主力製品の Vue 3 & Vuetify 3 へのマイグレーション全記録
個人開発レベルの規模であればサクッと書き直せばいいのですが、エンタープライズで Nuxt を使っている人には地獄でしょう。 移行ガイドの通りに頑張っても移行できない箇所が無数に出現するからです。
とんでもない地獄を乗り越えなければならない割に、乗り越えても何の利益にもなりません。 ビジネス的にはメリットがゼロです。Vue 自体に「衰退」のイメージがついてしまっているので、採用にプラスになるケースも少なくなっているでしょう。
「ゼロから React で書き換えた方が早いんじゃないか...」という想いに気付かないふりをして、頑張って Vue2 に依存した色んなコードを書き直し、テストも作り直すのです。 書き直した後の未来では、世の中のフロントエンドは React が主流で、Vue は傍流のような扱いが続きます。
世界のトレンドでは既に React 一択だからです。めちゃめちゃ頑張って Vue3 対応して、それでもメインストリームから離れていくのは辛いですよね。
Vue から Svelte に乗り換えている人も増えています。 Astroを採用する企業も増えてくるでしょう。
Nuxt3 を機に、Vue やめちゃいませんか?
Nuxt 3 のバージョンアップには膨大な工数が必要なのだから、長い未来を考えると、ここで React に移行しておいた方がメリットが大きいです。
Vue2 をわざわざ Vue3 に書き換える作業に時間を費やすより React にリプレイスした方が、エンジニアのモチベーションも高まるはずです。
フロントエンドエンジニアの市場価値も React 経験者の方が高くなるでしょう。
Vue3 が衰退したのは script setup と CompositionAPI のせい?
Vue は「簡単に書ける」という触れ込みで Rails エンジニアのような、フロントエンドをあまり知らない人に爆発的に指示されてきました。
React が流行り始めた当初、JSX に抵抗がある人は少なからずいました。 初期の頃は IDE もうまく補完してくれなかったので、JSX を敬遠する人がより増えた、という印象です。
テンプレートに v-
なんとか記法でプロパティを埋め込むやり方は、JSX や Rails の View を触ってきた人にとって、抵抗が少なかったに違いありません。
そんな Vue も、 Vue3 を期に Composition API を導入しています。 Option API に慣れ親しんできたユーザーにとって、 Composition API は相当大きなパラダイムシフトであり、 React を学び直すのと同程度の学習コストを強いるものでもありました。
Composition API の導入は、世の中の流れ的には必然でしたが、元々「Vue っぽい書き味」が好きだった人を Vue 嫌いにさせるには十分なものだったようです。
だったら React でいいじゃん、と。
Vue3 の衰退を招いたのは script setup と CompositionAPI かもしれない という考察
個人的には Composition API は入れて正解で、Vue の衰退の原因はひとえに「周辺のライブラリがついてこなかった」「バージョンアップに伴う痛みが大きすぎた」ことだと思っています。 AngularJS から Angular2 に移行する際に、Angular が辿った失敗をそのままなぞってしまった印象があります。
Vue を採用する多くの企業では Nuxt を使っているはずなので、Nuxt のバージョンアップが破壊的変更だらけで Bridge が全く機能していない時点で、Vue と共倒れする未来は見えていたのです。
「Vue の衰退」は 2022 年 7 月時点では既に確定していました。
2023 年 6 月になって「Vue3 の衰退を招いたのは script setup と CompositionAPI かもしれない」という記事がバズり、ツイッター上で多くの「Vue 衰退論」を目にするにつれ、自分の予感は正しかったのだと自信を持てました。
vue3 lang:ja などで検索すると、Vue に関する様々な意見を見ることができます。
nuxt3 lang:jaを眺めるのも面白いです。
Vue と Nuxt は衰退しました。
Ruby と Ruby on Rails もついでにオワコンになるだろう
もう一つ、個人的に確信していますが、 Ruby と Ruby on Rails も衰退していくでしょう。 型への対応が遅すぎたからです。
コア開発メンバーの言語開発者への宗教的崇拝もあったのかなかったのか、「型がない方が Ruby は楽しい!」と盲信した結果、多くのユーザーを苦しめてきました(型を普及させようと頑張っている人もいましたが、Ruby 開発者の主流が頑なに型を書きたがらなかった)
大規模開発で型がよくわからないのは致命的です。
型がわからない開発は楽しくもなんともありません。ただひたすらに苦痛です。 関数を呼んでも、どんな値が返ってくるかわからないと、不安で仕方がないでしょう。
IDE の恩恵も受けづらくなります。
Ruby 界隈には「Copilot に推論させれば型なんていらない」などといって、それでも型を書こうとしないアホがいますが、推論させるならその助けとなる情報は多ければ多いほど良いはずです。 Copilot は型を書かない理由にはなりません。
また ChatGPT などにコードを書かせる際も、 input と output の型がしっかり決まっていた方が正確な回答が期待できるでしょう。
Ruby はオワコンです。
そんな風に散々ユーザーを苦しめてきた Rails が、「いま使われているから」「慣れているから」という理由以外で、開発言語に選択される理由はありません。
新規開発で Rails を選ぶ会社は減っていくと確信しています。 現に減っているのではないでしょうか。
もちろん、巨大サービスが Rails を使っているので、この先 10 年、 Rails が消えることはありません。
失われた 30 年で凋落していった日本のように、少しずつ、ゆっくりと衰退していくでしょう。 ライブラリがメンテナンスされなくなり、人が離れ、ユーザーが徐々に減っていきます。
巨大サービスの人気に陰りが出るのと一緒に、Rails も衰退していきます。 さようなら Rails...。君がいない未来を楽しみにしてる。
Nuxt2 の EOL はいつ?
気になるのは EOL のタイミングです。 Nuxt2 系最後の Version v2.15.8 は 2021 年 8 月 12 日にリリースされたので、Nuxt2 のセキュリティアップデートは 2022 年 10 月 12 日まででしょうか。
v2.4 以降、Nuxt のすべてのメジャーバージョンに End of Life があります。旧バージョンは、最初のリリースから数えて 1 年と 2 週間の間、セキュリティアップデートとバグフィックスを受けることができます。 Nuxt のメジャーバージョンはおよそ 6 ヶ月に 1 回リリースされるので、開発者は壊れたり安全でない Nuxt の依存関係に悩まされることなく、「メジャーバージョンを 1 つスキップ」することができるようになるのです。 この EOL はドキュメントにも適用されます。 RELEASE_PLAN.md
NuxtJS のリリースノートは以下です。
「Version v2.15.8 RELEASED ON AUGUST 12, 2021」となっています。
急すぎて信じられないかもですが、2022 年 10 月頃からは Nuxt 2 系はセキュリティアップデートとバグフィックスが行われないことになります。 これが EOL です。
とはいえ、Nuxt3 が出たばかりなので、Nuxt2 から Nuxt3 にアップグレードできる会社はそう多くはないでしょう。
しばらくは Nuxt2 系で頑張るのが現実と思われます。
ただ、ここで注目してほしいのは、いつまでもリリースされない伝説の「v2.16.0」です(2022 年 9 月時点)
もしかしたら伝説の v2.16.0 がリリースされてから 1 年と 2 週間はセキュリティアップデートとバグフィックスが行われるのかもしれません。
v2.16.0 の Pull Request の動向はチェックしておきましょう。
Vue2 の EOL はいつ?
Vue 2.x は 2023 年末に EOL の予定となっています。
Vue 2.x の EOL は、Vue を使っているすべての企業が意識すべきターニングポイントです。
GitHub の情報を見てみましょう。
2.7 では、さらに 1 つのマイナーリリースが予定されています。 3.x と互換性のある機能を 2.x にバックポートする。 3.x の変更点に対する非推奨の警告 このリリースは 2.x の最後のマイナーリリースとなり、18 ヶ月間の LTS (long-term support) として提供されます。LTS 期間終了後も、重要なセキュリティアップデートが提供されます。 What happens to 2.x
「Vue2.7 が正式にリリースされてから 18 ヶ月後に EOL」とのことです。
やはり 2023 年末ですね。早めに準備しましょう。
公式情報も以下の通り、18 ヶ月と語っています。
2.x のことも忘れません! と言うよりも、私たちは 2.x を使用してユーザに新しい変更を徐々に習得させる予定です。API の変更は opt-in アダプタを通じて 2.x に徐々に導入していき、またユーザは 2.x-next で新しい Proxy ベースの observer を試すことができるようになります。 2.x の最後のマイナーリリースは LTS になり、3.0 がリリースされても 18 ヶ月間にわたりバグとセキュリティ修正を受け続けます。 Vue.js における次のイテレーションの計画
以下のツイートで Vue2 の終わりの始まりに気付いた人も多くいたことでしょう。
Vue 2 end of life at the end of 2023 #vuejs pic.twitter.com/luvk1lt3U6
— Filip Rakowski 🇺🇦 (@filrakowski) June 2, 2022
「2023 年末、Vue2 の終わり」と壁に張り紙して、チーム全体で意識しておいてください。
Nuxt2 から Nuxt3 へのアップデートのベストなタイミングは?
「2023 年の Vue2 の EOL 」を締切として、各企業がリプレイス計画を立てていくと思われます。 EOL を過ぎ去ったライブラリを使い続けるのは企業イメージが悪くなるし、採用も不利になるし、セキュリティ的にも問題があります。
2023 年初に計画を立てて、2023 年夏頃完了を目処に移行するのがベストなタイミングでしょう。
ファーストペンギンとなったエンジニアたちが人柱になって、ネット上に情報を公開してくれるはずです。 ペンギンたちのバグレポートによって、Nuxt3 の挙動も徐々に安定してくるでしょう。
期限ギリギリまで人柱が苦しむ様子を観察して、情報を出し切ってもらってから Vue3 + Nuxt3 にアップグレードするのがベストです。
本来であればバージョンアップなどは早ければ早いほど、影響範囲を小さくできるのですが、Nuxt に関しては安定稼働していないうちにバージョンアップするのは危険です。
解決不能なバグに思わぬ工数を取られる可能性が極めて高いからです。
特に Nuxt2 から Nuxt3 は破壊的な変更が多く含まれているため、計画外の工数が取られる恐れがあります。
動かないライブラリに苦戦しまくり、計画の修正をいちいち上司に報告しなければならず、苦しい想いをすることでしょう。
Nuxt で開発した期間が長ければ長いほど、バージョンアップには苦痛を伴います。 おそらく、ほぼほぼ書き直しするレベルで修正が入るため、場合によっては Nuxt を捨てる決断も必要になるかもしれません。
Nuxt3 のリリースはいつなのか?
どうも Nuxt3 の安定版のリリースは延びに延びているようです。
リリースロードマップによると、Nuxt3 のリリースは「2022 年の夏」と上司に報告したら怒られそうな曖昧なスケジュールになっています。 北半球の夏の終わりにリリースされていなかったので、南半球の夏なのかもしれません、
前は「Midsummer」となっていたのが、しれっと「Summer」に変更されたようです。夏休みの宿題をやり忘れた子供みたいですね。
Nuxt3 は Vue がオワコン化する前兆
Nuxt3 は破壊的な変更が多く、ほとんどの企業ではバージョンアップに苦戦すると思われます。 ほぼほぼ作り直しに近い改修が必要になるはずです。
多くの工数を投入してバージョンアップしても、ユーザーにとってのメリットはほぼないので、ビジネス側に開発投資を認めさせるにも苦労するでしょう。
開発者は以下のジレンマに悩まされます。
- いずれアップデートしなければならないからさっさとやる
- さっさとアップデートすると挙動が安定しないから様子見する
その上で、アップデートの工数を認めたくないビジネスサイドの人間の説得にも疲弊します。
「バージョンアップに半年必要です!EOL だからアップデートするしかないんです。ただ、大きな工数をかけて移行するほどの価値があるかはわかりません!ぶっちゃけ、ユーザー体験はあまり変わりませんな!ガハハ」
こんなことを言われてもビジネスサイドの人はバージョンアップの必要性を理解できないので、渋い顔をされることでしょう。
とはいえ、ライブラリのバージョンアップを認めない会社にいてもエンジニアとしてはメリットが薄く、成長が止まってしまう可能性が高いので、退職を検討しましょう。
ちなみに Vue を使っていて年収 1000 万超のメルペイ社はライブラリのバージョンアップには即時取り組む方針と聞きました。
メルカリ本体は React を使っているのですが、メルペイでは技術スタックの幅を広げるためにあえて Vue を使っているわけですね。面白いですね。
メルペイ・メルカリの年収は?技術スタックやサービス内容から転職する方法を考えよう
年収が高くて有名なプレイドも Vue を使っていますが、バージョンアップをどうするつもりかはわかりません。 優秀なエンジニアが勢揃いしている企業なので、サクッとやってしまうかもしれませんね。
エンジニア転職で年収が高いプログラミング言語と年収が低い技術スタックを解説する
Nuxt3 へのアップデートは非常に辛いので、Nuxt3 を機に「Vue をやめてしまおうか」と考える企業も少なからず出てくると予想しています。
どうせほぼゼロから作り直すのだから、React + Next に入れ替えたいですよね。
というのも、世界的には React 一強の状態だからです。
日本の採用市場では React と Vue が二分していますが、現在では正直、Vue を選ぶ理由はありません。
Vue を使っている会社が多いのは、Vue や React が流行り始めた時期に、JSX に対する抵抗を持つ人が多かったためです。 今では JSX で書いたほうが楽だと感じる人の方が多いでしょう。
Angular や CakePHP、 Perl がシェアを落としていったように、Vue も Nuxt の破壊的なバージョンアップをきっかけに、ユーザーが離れ始めるのではないかと考えています。
この記事をここまで読んでくれた方は、ぜひ React + Next の採用を検討してください。
Nuxt2 から Nuxt3 にバージョンアップするよりも、React + Next で書き換えた方が楽かもしれません。
React に興味を持った方は以下の記事を参考に、React を勉強してみてください。
React を勉強するためにおすすめの書籍一覧|初心者・未経験からポートフォリオを作るレベルまで
ちなみに、TypeScript と Vue の相性が悪い、という話を未だにする人がいますが、普通に template 内でもコード補完も効きますし、型は推論してくれます。 個人的には React 推しですが、Vue だから TypeScript が使えない、ということはありません。
Vueの話、忖度なしで言うとVue 3の方向性がこれまでの流れとかなり違うから大きな変革が必要だったけど、肝心の 2 to 3 の部分とコアの v3 リリースに合わせての公式のエコシステムの追従とか諸々がグダり、結果ユーザーがついてこず「Reactでいいや」になって今に至ってるとしか思ってない
— potato4d/Takuma HANATANI (@potato4d) July 18, 2022
なぜ日本では Vue が使われているのか
Vue は世界的にはメジャーな選択肢ではありません。 Facebook, Instagram, Twitter, TikTok, Pinterest, Slack, Discord, Netflix, Uber Eats, Airbnb などの有名所のサービスのウェブインターフェースはすべて React です。
世界では React のシェアが圧倒的なのです。
それでも日本で Vue が好まれているのは、日本の Web 開発で偉くなった人がサーバーサイド畑出身であることが多いからです。
フロントエンド専門の人であれば迷わず React を選びますが、日本の Web で偉くなった人は Ruby on Rails のようなサーバーサイドフレームワークに馴染んでいるので、テンプレートベースで書ける Vue を選びがちです。
要はフロントエンドをよく知らない人が、React が怖い、馴染みのある Vue の方が使いやすいはずだ!と思い込んで、意思決定した結果の Vue 偏重なのです。
2022 年現在では、React に関する技術書も増えてきています。 今後は React への恐怖心も薄れていくでしょう。
React への恐怖心が薄れていくにつれて、Vue 離れは加速するはずです。 「敷居が低い」「開発しやすそう」という Vue の魅力が相対的に小さくなるからです。
結果として、日本でも世界の潮流を追うように、Vue のシェアは下がっていくでしょう。
シェアが下がったライブラリには開発者も集まりません。コミュニティが尻すぼみになっていくということです。
長い目で見ると、Vue はオワコンなのです。今後は確実に廃れていきます。 「確実に廃れる」ということは、今 Vue に費やしている時間は「完全に無駄」とは言いませんが、Vue 特有の知識の多くは無駄になってしまいます。
人生の時間は限られているので、無駄になるとわかっているならなるべく時間を投入しないほうが良いのではないでしょうか。
同じことは Ruby on Rails にも言えます。
Ruby のユーザーは、言語の優秀さを強調します。それは事実ですが、GitHub でランクを大きく下げているということはライブラリの開発者がいなくなってきているということです。
言語本体だけでなく、ライブラリーのどうしようもない貧弱さを、もう少し真摯に考えるべきではないでしょうか。
Ruby の人気は長期低落傾向です
長期的に下落していく言語やフレームワークはコミュニティが萎んでいって、相対的に不便になっていきます。 「歴史的な経緯から移行できないユーザー」などはしぶとく残りますし、将来的に全く使われなくなる、なんてことはありませんが、転職でアピールしづらくなったり、最新の話題についていけなくなったりと、デメリットは多いです。
Vue は学習しづらいし生産性が低い
Vue の悪い点は他にもあります。React に比べて、良書が少ないため、勉強しづらい点です。
登場した頃は「公式チュートリアルが日本語だからわかりやすい」という理由で Vue の採用が進みましたが、今では React のチュートリアルも普通に日本語で読めます。
検索しても Composition API と Option API の情報が錯綜していて、とにかくググラビリティ(検索して良い情報が見つかる確率)が低いのも Vue の特徴です。
Vue3 と Nuxt3 へのアップデートがきっかけで、混乱はさらに深まるでしょう。何か問題を解決したいときも、Vue2 と Vue3 が混在していて、欲しい情報が見つからなくなると思っています。
Vue が学習しづらい点についてです。
以下の記事に書いたのですが、Vue でおすすめできる書籍は 2 冊しかありません。 良い本が少ないので、初学者が勉強していくのが辛いのです。
私自身はいろんな書籍を買いまくって、ものすごくお金を無駄にしたので、これから Vue を勉強せざるを得ない人は、私の経験を参考にして良書だけを買ってほしいです。
【初心者向け】Vue3 と Nuxt.js を勉強するためにおすすめの書籍一覧
CompositionAPI と OptionAPI の利用割合
モダンな Vue は CompositionAPI を使って書きますが、実際に CompositionAPI 対応ができている会社は少ないです。 CompositionAPI が登場する前に作られたシステムをいちいち書き直すためには大きな工数が必要だからです。
機能追加を止めて、全部書き直す判断ができる会社はそう多くはありません。
結果として、古い書き方が温存されている会社がほとんどです。知識の陳腐化が始まっているともいえます。
フロントエンドエンジニアとして転職先を探すなら、React(Hooks 対応済)または Vue + CompositionAPI で Web フロントを作っている会社を選びましょう。
ちなみに Nuxt3 は CompositionAPI で作っていたとしても、移行には苦労します。
Nuxt3 の移行プロジェクトは不毛すぎて意味がない
Nuxt3 への移行プロジェクトは間違いなく地獄です。
まず、Vue3 対応しているライブラリと、Vue3 対応していないライブラリがごちゃごちゃになってエラーが出ます。
次に Nuxt2 から Nuxt3 に上げたのが原因となってエラーが出ます。
OptionAPI から CompositionAPI への移行が原因でもエラーが出ます。
不毛なエラーだらけで日が暮れて、検索しても答えが見つかりません。
何も進捗がないまま時間ばかりが過ぎて、移行が完了してもプロダクトの価値は上がるわけでもありません。
ピカピカの Nuxt3 に生まれ変わったとしても、世界的なトレンドは React で、Vue にトレンドが戻ることはないでしょう。 Vue を使うくらいなら Svelte を選ぶはずです。
地獄のような移行が終わった後は虚無です。トレンドを外した技術で延々とプロダクトを改善していかなければいけません。
こう考えると、もう Nuxt3 への移行はやめて、React で書き直すのがむしろ一番リスクが少なく、リターンが大きいのがわかるでしょう。
ウェブ系エンジニア転職市場で求められるスキルセット、流行パターン
Nuxt の移行プロジェクトに半年縛られるくらいなら、React がやれる会社に転職しましょう。 年収も上がるはずです。転職しない理由がありません。
大切な自分の時間は、価値ある仕事に使いましょう。今後伸びていく技術に時間を投入しましょう。
【IT・WEB エンジニア向け】おすすめ転職サイト|各サイトのメリット・デメリットを年収 1000 万超の現役エンジニアが徹底解説
IT 業界に強くておすすめの転職サイトはこちらです。
Vue3 のアップグレードと Nuxt3 についての各種反応/評判まとめ
最後に、Vue のアップグレードや Nuxt3 への移行について、Twitter の各種反応をまとめていきます。
BASE が Vue から React に移行しようとしてる。日本のトレンドも世界にあわせて動きつつあるか。 https://t.co/94EdtW6xQ4
— 大岡由佳『りあクト! 第4版』BOOTHで販売中!紙本も (@oukayuka) September 17, 2020
わかる。
— いぐぞー!! ✈️ 旅するプログラマー (@igz0) March 29, 2022
Vueはなんであんな破壊的変更したのか理解できない。
> Vue2 -> Vue3へのBreaking Changeや、それによって引き起こされているであろう周辺ライブラリの対応の遅れによる開発スピードの低下・移行コストの高さが無視できるレベルではないように感じているからです。 https://t.co/CUkbanadW0
最近のVueは追ってませんが、Nuxt2系を使っているなら
— 雄貴@月商200万のフリーランスエンジニア (@YUKI11O29) June 26, 2022
1. Nuxt Brigeに移行してNuxt3との互換性を上げる
2. Vueを2系から3系に上げる
3. Nuxt BrigdeからNuxt3に移行
という段取りになるかなーと。
ここまでくるともうReactでリプレイスの選択も出てきますね😅 https://t.co/WhSMK96xWq
React folks:
— Anthony Fu (@antfu7) September 7, 2022
Just out of curiosity, what are the blockers/downsides that are preventing you from using/trying Vue? 👀
Nuxt3への移行は大変すぎるのでは?この際にSvelteに切り替えた方が楽しそう
— gepuro (@gepuro) January 7, 2023
Nuxt 3 に移行しようと頑張っている企業の記事まとめ
一休や BASE など、Nuxt 3 の移行を前向きに頑張っている会社はいくつかありますが、どの会社も大変そうな印象があります。 Nuxt 2 で開発した歴史が長ければ長いほど、歴史の重みによって移行が大変になります。
React に切り替えるなら今しかないですよ。
それでも Vue で頑張っていくならば、ryo_kawamata さんの記事は非常に参考になります。
Vue 経験者向け Vue3 スタートガイド [実行環境付き]
ライブラリの破壊的変更もかぶさるとキツいっ / 1件のコメント{' '} https://t.co/elqq7DCFKu “Nuxt 3 アップデートで VeeValidate v3 から v4 に移行するには - ANDPAD Tech Blog” (9 users){' '} https://t.co/jFTT0sbL8c
— 鈴木心之介 (@sasasin_net) December 5, 2022
ANDPAD 社の VeeValidate v3 から v4 への移行記事には以下のように書いています。
VeeValidate は Vue 公式ドキュメントでも言及されているくらいのメジャーなライブラリなので、利用したことがある、または利用している方も多いのではないでしょうか。 ありがたいことに既に Vue 3 に対応した v4 が提供されているのですが、かなり破壊的な変更が含まれています。 ライブラリ開発者自身が「全く別のライブラリだと思ってください」とコメントしているほどに API が変わっており、移行ガイドも用意されていません。
もうこんなん無理やん...と思ってしまうのは私だけではないはずです。
- Vue2 から Vue3 への移行
- Nuxt2 から Nuxt3 への移行
- 周辺ライブラリの移行
など、全部やるともはやゼロから書き直すレベルの修正が必要です。 それだったら Nuxt やめたら?と思ってしまいますね。