大企業からスタートアップに転職する人が増えていますが、ほとんどの人は不幸になっています。 その証拠に、大企業からスタートアップに転職するパターンの人の多くは 2 年以内に再転職しています。
幸せだったらそんなにすぐに再転職しないでしょう。
ベンチャーには夢が溢れてて、楽しく自由に働けると勘違いしていた時期が私にもありました。
自由で、楽しくて、私服で通勤して、自分がやりたいことを自由にやれる! 大企業のお役所仕事はもう懲り懲りで、つまらない会議なんてもう 2 度とやりたくない! 「生きてる」って実感が欲しいんだ。だって一度きりの人生だもの。
そう思いながら、年収 1000 万超の大企業を退職して、ベンチャーに転職しました。
結論、ベンチャーに夢などありません。あるのはやりがい搾取だけです。
ベンチャーは外からは自由そうに見えても、仕事の方針はワンマンの社長がすべて決めます。
会社は大株主である社長のものです。決して社員のために会社があるわけではありません。私達が自由になるために会社が存在しているのではなく、株主を豊かにするために会社は存在します。
自由に意見を言えたとしても、意見が通るか通らないかは社長次第です。
「ベンチャーならスキルが身に付く」と期待して転職しても、実際の業務は想像と違っていたりします。
大企業なら経理や総務、法務の人がやってくれるような仕事(雑務)を丸投げされることもあります。専門職として入社してもです。
ベンチャーはベンチャーで、仕事はたくさんあって色々な経験は積めるのですが、それが転職市場で評価される「良い経験」とは限りません。
契約書を頑張って読み込んで、たくさんの外部委託メンバーを面接しても、職務経歴書には書きづらいですよね。 社長にたくさん企画書を出しても、エンジニアの経験としては評価されません。
上は一例ですが、キャリアにつながらない余計な仕事がたくさん降ってくるのがベンチャーです。人が少なくて、分業できていないからです。
会社の方針もコロコロと変わるため、キャリアの計画が立てづらいのもデメリットです。
この記事では、ベンチャーで実際に経験した失敗と後悔を紹介します。
ベンチャーはとにかく給料が安い(年収が低い)
大企業から年収を半分に下げてベンチャー企業に転職しました。
ソフトウェアエンジニアとしてスキルを身につけるためです。
大手 SIer と呼ばれる場所では、ソフトウェアエンジニアとしての経験を積むことはできないので、年収を下げてでも転職しようとしたのです。
経験値が低い自分を雇ってくれたのはベンチャーだからこそですが、完全に未経験なわけでもないのに、やはり提示される年収は低い!あまりにも低いのです。
「提示される年収こそがお前の実力だろ」と言いたい人もいるかもしれませんが、そういうことを言うのは現実が見えていない馬鹿です。無視していいでしょう。
提示される年収は、自分の実力よりも「どの会社を選ぶか」次第なのです。転職活動すれば誰もが感じるはずです。
「何をするか」とか「どれだけ実力があるか」よりも、「どの会社か」が年収を決めます。
そういう意味で、ベンチャーは「実力如何に関わらず提示される年収は低く、そして残っていても年収が上がる可能性は低い」です。
ちなみに私が転職したのは、「ベンチャー企業」と名乗ってはいるものの、創業から 10 年以上経っていて、社員数が 100 人以下の中小企業でした。
採用面接のとき、上司となる役職の人がこう言いました。
「うちの会社はサクサク年収が上がっていくから、(転職時に)下がっても大丈夫ですよ」
自信満々で語るおじさんを見て、安心していました。
「おお...最初、年収が下がっても、この会社では後からガンガン上がっていくのか...」と、転職活動中はものすごく魅力的に感じていたのですが、中に入って驚きました。
昇格したときのベースの昇給が「5,000 円」だったのです。
5,000 円...?50,000 円の間違いじゃないのか?と不思議な気分になりました。年に 2 回、サクサク 5,000 円ずつ昇給したとしても、5 万円アップまで 5 年かかります。
お前の「ガンガン上がる」って 5000 円なのかよ...と呆れました。
昇給のレベルが低すぎるのです。
私が新卒で入社した大手 SIer は 33 歳くらいまでは毎年 5 万円くらい昇給していました。ベースが 5 万円です。
賞与も毎年増えていました。 頑張れば、賞与プラス 10 万円以上の加算金がもらえたりして、金銭的には明らかに恵まれていました。
30 周年だか 50 周年だかの節目には、全社員に 10 万円以上の臨時ボーナスが配られました。今思えば素晴らしい配慮です。
気になる方はIT 専門転職エージェント@PRO 人【アットプロジン】
に登録して、エージェントに「野村総合研究所」について聞いてみてください。
ベンチャーだと、「社長賞」みたいなのをもらったとしても、お気持ちの感謝状程度のものです。幼稚園児かよ。
頑張っても別に報われないのがベンチャーです。ベンチャーの社員が頑張ることで報われるのは「株主」であって、株主でも役員でもない平社員にはメリットがないのです。
LIPS という大ヒットサービスを運営する AppBrew などの成功したベンチャーの役員ですら、年収だけで見ると 1500 万円以下です(株はもらってると思いますが)
上場が確実に見込めるベンチャーでなければ、商社マンの方が 100%確実かつ楽に稼げます。
ベンチャーに転職するのはやめておきましょう。平社員としての転職は最悪です。株をもらってストックオプションで儲ける以外はベンチャーに転職する理由は皆無です。
ベンチャーに転職するくらいなら、商社マンを続けながら情報商材でも売っていた方が間違いなく良いです。
31歳で年収1600、1800万円の三菱商事よりもらえる日系IT企業はいつになったら出てくるのでしょうか?
— サカモト@エンジニアキャリア論 (@sakamoto_582) March 14, 2023
三菱商事、基本給平均6.5%引き上げ 初任給も5万円増:日本経済新聞https://t.co/BfX3ZZ3FBz pic.twitter.com/XmZrofMhTp
大手 SIer は辞めてしまってもいいですが、商社は絶対に辞めないでください。間違ってもベンチャーには行かないでください。
JTC(日系大企業)とベンチャー、どちらも経験して感じたメリット・デメリット
ベンチャーはスキルが身に付くわけではない
ベンチャーは常に人手が足りません。
採用面接のときに、一応「あなたにはこんなスキルを期待しています。こんな仕事を担当してもらいます」みたいには言われますし、そこに合意して入社するわけです。
しかし、社長の方針変更などによって、部署のミッションが突然大きく変わったりするわけです。
「エンジニアに営業をやらせる」みたいなふざけた話はほぼないですが、開発するつもりで入社したら、仕事は管理ばかりだった、というのはよくあるケースです。
モダンな技術に触れられると期待してベンチャーに入社しても、中に入るとレガシーだらけなこともあります。
ベンチャーは人手が足りないので、ライブラリやフレームワークが時代遅れになっても、更新する工数が避けないのです。 ベンチャーだからモダンなのではなく、余裕がないベンチャーはモダンな技術を追いかける余裕はないんです。
テックを売りにしている有名ベンチャーでもない限り、原則、ビジネス的な要求が優先されます。 ベンチャーは余裕がなく、技術で遊べないので、新しい技術には触れにくいのが現実です。
ベンチャーだったらモダンな技術で遊べる!市場価値が高い技術で仕事ができる!と夢見るのはやめましょう。
ベンチャーの方がむしろ、技術よりも利益が優先されます。
雇われ社員のくせに「会社なんだから利益を優先するのは当然だろ」と反論する人もいますが、真の馬鹿です。
会社員として働くなら、自分のスキルアップと年収を最優先に考えるべきで、ビジネスの成功は経営者が考えることです。
自分にとってメリットがある組織で働きましょう。
自分の事業で 1 円も稼いだことのない奴に限って、「会社の利益を追求するのだ」みたいに口走りがちなのですが、シンプルに頭が悪いので無視しましょう。
雇われと経営者の立場の違いを理解して、雇われは雇われのメリットを追求するのが正解です。
ベンチャーに夢を見るな!やりがいもないし給料も安いブラック環境が現実
自分の市場価値が上がる事を意識して、そういう技術が使える所を探すのは良い事なんだけど、余りそれに囚われすぎるのも良くない気がするなぁ…
— いちごろ(黒光り✨) (@panda66104256) January 15, 2023
枯れた技術を使ってちゃんと売上ある会社は、業績が安定してる会社の可能性が高いよ。
上のような言説に惑わされずに、自分の市場価値が上がって、かつ年収が高い場所で働きましょう。
自分が在籍期間中に会社が潰れるのはまずいですが、潰れなければ OK です。
たしかに業績と年収は比例しますが、業績は 1 人のエンジニアにはコントロールできません。
業績の安定は社長に任せておけば OK です。
ちなみに上のツイートに関していうと、枯れた技術を使っているから会社が安定しているのではなく、太い顧客がいるから安定しているのです。 太い顧客とお付き合いしていく中で、顧客の要望を優先し、技術スタックの更新をサボり、技術的な負債が溜まり続けた結果、「技術が枯れていった」のであり、枯れているからといって安定しているわけではありません。
因果関係を見極めましょう。
というか、そんなことを言っているエンジニアがいたら、「安定している会社で終身雇用されるつもりなのか?カビ臭い技術と一緒に心中する気か?」と聞いてみましょう。
上場前のベンチャーは忙しく、上場後はただ給料が安いだけ
ベンチャーは上場前はひたすらに忙しいです。みんな馬鹿みたいに残業します。 株をもらえるのであれば、上場するためにひたすら頑張って、上場したときに売り払えば報われますが、株ももらえないのにタダ働きするのは無意味です。
次に、上場したあとのベンチャーは就職するメリットが全く無いです。
株ももらえない平社員として、上場後のベンチャーに入るのは、ただ年収が下がるだけで本当に意味がないのでやめましょう。
- 株をもらう
- 役員として入る
- 上場が見込める
以外の理由でベンチャーを選ぶ理由はありません。
今からベンチャーに転職しようとしている人はよく考えてください。
ただ、ベンチャーはベンチャーでも、大企業の子会社的な位置づけのベンチャーであれば、年収が下がらないこともあります。
とにかく年収を下げてベンチャーに転職するのはやめましょう。絶対に後悔します。
読んで字の如く、「後悔」はあとから来ます。
「転職しよう」と決意したときは、その怒りから「現職のマイナス点」ばかりが見えるでしょう。わかります。
特に日系大企業はクソです。無駄なことばかりして、穴を掘って埋めるような仕事を延々と続けています。給料以外にやりがいはなく、仕事の面白みもありません。
JTC=日本の伝統的な大企業とは?| JTC と呼ばれる会社の特徴を具体例で紹介
転職が決まった直後は、高揚感から、現職なんてクソだ!新しい職場で楽しくやるぜ!とワクワクしているでしょう。
違うんです。
転職して、働いて、3 ヶ月経ったあとに気づくのです。
「あれ、貯金の残高、減ってる...?」
増える一方だった貯金が減り始めます。
半年経って、ボーナスの月が来たらさらに驚きます。
大企業時代の 5 分の 1 です。こんなちっぽけな給料のために、毎日働いていたのか...と愕然とするでしょう。
どんなに仕事が楽しくても、所詮は雇われです。金銭的に全く報われない環境にずっとはいられません。
年収の低い会社に転職すると、友達にお酒を奢れなくなり、女の子と飯に行くのも躊躇するようになります。そんなんだったら生きてる意味がないです。
年収を下げてベンチャーに転職するのはやめましょう。年収低くてブランドもない会社で働くと、自己肯定感も下がります。自信のない男はモテなくなります。
つまり、生きてる意味がなくなるのです。
ベンチャーは社長がワンマン
幸福な会社員生活は以下の要素で決まります。
- 自由度が高いこと
- 年収が高いこと
- 会社にブランドがあり、自己肯定感が高まること
- 労働時間が短いこと
この中で、「自由度の高さ」を求めてベンチャーに転職する人は多いでしょう。 ベンチャーはたしかに大企業に比べると「しがらみ」や「しきたり」は少ないです。
ですが、少しでも大きめな意思決定をしようとすると、社長の承認が必要だったり、いちいち社長に報告が必要だったりするケースがあります。
ワンマンで、いちいち現場に首を突っ込んで、権限を移譲しない社長の下で働くと、息が詰まります。
年収が高く、社長自身が死ぬほど優秀で尊敬できるならともかく、普通のおっさんにいちいち偉そうにされるならベンチャーで働く意味はありません。
もしベンチャーで働くというなら、社長に魂を捧げて、「この人のために働けるなら自由も金もいらない」くらいの情熱が自分にあるかを確認しましょう。
社長を愛せないならベンチャーには不向きです。ベンチャーは社長次第です。
私は自分しか愛せないし、おっさんは基本的に嫌いなので、ベンチャーは合いませんでした。
ベンチャーは労働時間が長い
ベンチャーは労働時間が長いことが多いです。 働かざる者食うべからず、と言いながら残業代も出さずに残業させるベンチャーが多すぎます。
集団で同じ行動(=長時間労働)をしていると、中にいる人は簡単に洗脳されてしまうのです。
長時間労働が当たり前だと。朝から晩まで働いて、会社を成長させるのが幸福だと思いこんでいます。
目を覚ませ。お前の幸せは、お前自身にお金がたくさん入って、お前自身が色んな人に認められて、自由で、楽しく働くことだと私は言いたい。
やりがいを搾取するベンチャーが多すぎです。
ただ、エンジニア界隈に関していうと、ベンチャーよりも SIer の方が残業が長いです。 ウェブ系エンジニアは「残業しない文化」に慣れきっている人が多いので、いちいち長時間労働させられる会社には入社しません。
というより、長時間労働させるブラック企業だと、他の会社にすぐに転職してしまいます。
なので、ベンチャー含め、ウェブ系エンジニアは残業は比較的短いところが多いです。
あと、スタートアップ系企業は最初からフルリモート前提で採用しているケースも非常に多いです。 報酬で魅力を出せないので、フルリモートなどの特典をつけるわけですね。
ベンチャーに転職してもいいケース
ベンチャーは規模が小さく、ビジネスの全体像が見えやすいというメリットはあります。 会社全体で何を目指し、どういう施策をして、その結果どんな影響があったのかが見える範囲にあります。
大企業だと、会社の規模に対して自分の仕事が小さすぎて、自分の仕事に何の意味があるのかは見えにくいです。
なので、ビジネス感覚を身に着けたり、短い期間で集中的にスキルアップする目的があるならば、一時的にベンチャーに入るのはおすすめです。
「一時的」の目安は「2 年以内」です。
ベンチャーに長居してもお金は貯まりません。学びもなくなっていきます。
できれば 1 年。長くても 2 年以内に学びきって、さっさと次にいきましょう。踏み台転職に使うならば、ベンチャーは大変有用です。
ベンチャー企業に転職すると市場価値は下がるのか?経験談を語る
転職で年収を下げるな
年収を下げて転職すると、生活が苦しくなるし、不満が溜まりやすくなります。
私自身、大企業からベンチャーに年収を下げて転職して、貯金が 1 年で 400 万円減りました。貯金が減ると心も貧しくなります。
人にお酒を奢りづらくなり、スーパーの値札にすらびくびくします。
年収を下げるのはやめましょう。 待遇が良い会社をエージェントに相談してもらうのがいいです。